Cannes Short Interview−−ライオンズ・フェスティバル テリー・サベージ会長「我々は世界を変えることはできないが、パーセプションは変えられる」

——今年は、特別部門「グラスライオン」と、従来のイノベーション部門から独立したアワード「ライオンズイノベーション」が新設されました。

カンヌライオンズは、広告界の写し鏡です。「ライオンズイノベーション」はデータやテクノロジーを活用したクリエイティビティを評価するものですが、広告・クリエイティブ界のみならず、世の中全体においてデータの影響力は日に日に増しており、もはや無視することはできません。あらゆる領域にまたがる、成功のための原動力です。昨年のカンヌのセミナーでも、「データ」という言葉が一体何度出てきたことでしょう。今年、ライオンズイノベーション内の「クリエイティブデータ」部門には、実に600を超えるエントリーがありました。
「グラスライオン」の新設については、広告界においてもジェンダーの問題は根強く存在しており、この領域の“草の根”的な活動の認知を拡大する必要があると感じていました。今年は166のエントリーが集まりましたが、そのエントリーフィーはジェンダー問題の解決に向けて活動している団体に寄付することにしています。
私たちは、世界を変えることはできませんが、パーセプション(認識・理解・知覚)は変えられるはず——そう考えています。

——従来、部門はメディアごとに設定されていましたが、近年では「グラス」「イノベーション」「データ」など、切り口が変わってきていますね。

(意図的にそうしているというよりは、)実際の世の中の動向を反映している(“Just reflecting real world”)にすぎません。事実、世の中ではデータの重要性がますます高まってきているし、イノベーションもあらゆる領域において必要とされている。コンテンツはもはや、あらゆる場所に存在するようになっていますから、カンヌもそれに対応している、ということです。
カテゴリの再編については、常に考えています。例えばプリント、アウトドアといったメディアは、いまデジタルに取って代わられつつあります。しかし、です。そうした従来型のメディアにも役割があり、それがきちんと機能しており、マーケティング・クリエイティブのエコシステムの一部を担っているということに変わりはありません。カテゴリを加えるのも減らすのも、ある意味簡単です。しかし、そうしたチャネル・カテゴリはいまだ重要で、レリバントで、それぞれに役割を持っている。何を加え、何を減らすのか。この議論はそう簡単ではありません。たとえ我々がカテゴリをどんどん減らしていったとしても、市場はそのカテゴリ(とメディア)を必要とし続けると思います。

——日本のマーケターにメッセージを。

カンヌライオンズがいま注目しているのは、企業のビジネスに密接に関わる分野——メディア、PR、イノベーション、そしてデータです。それらについて、あなたが世界のベストプラクティスを学びたいと望むならば、カンヌはそれに応えることができます。あなたのビジネスを助け、マーケティング・クリエイティブの大きな可能性に気づくことができるでしょう。カンヌには、今後どのようにビジネスを成長させていくか、これまでにない素晴らしいアプローチを考えるヒントが数多くあります。そして、素晴らしい食事とビーチもね(笑)。

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