新しいカンヌライオンズ「Glass Lion」の試みとは?−−電通ダイバーシティ・ラボ 銭谷侑 カンヌレポート

1つ目は、ブランドの課題設定を大きくすると、そのブランドの存在価値そのものも大きくなる可能性があるということだ。今回のウィスパーも、課題設定を単なる販売促進ではなく「生理中の女性が、もっと幸せに生きられる社会にする」というところに置いたことで、より社会から指示される存在になった。私たちの目の前にある案件でも、そのブランドの存在価値を問い続けることで、社会に良い変革を起こし、より人から求められるブランドになる可能性があると感じた。

2つ目は、広告会社は、クライアントの課題から仕事が始まることが多いが、
社会の課題からも仕事をつくっていける可能性もあるということだ。「TOUCH THE PICKLE」も、担当した人間がインド社会に強い課題意識を持っていなければ、そのアイデアを思いつきもしなかったであろう。広告に携わるものにとって、社会のあらゆることに興味を持ち、自分なりの課題意識を持っていることが、目の前の仕事にも大きく影響を与えると感じた。

シンディ・ギャロップ氏は授賞式の冒頭に「自らの仕事を省みる良い機会になって欲しい」と語ったが、まさしく性差別や偏見と向き合うグラスカンヌは、広告に携わるすべての人間にとって、広告が起こせるインパクトの大きさを再認識し、目の前の仕事を省みる良いきっかけになるのではないか。

次回の現地レポートでは、グラスカンヌの他の案件の紹介や、今後のグラスカンヌの可能性について感じたことを書いていきます。


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