アメリカン・エキスプレス、カゴメ、クリニーク、サントリースピリッツ、VAIOが描く感動体験とは?

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2015年5月21日に第7回目となる「JAPAN CMO CLUB」の研究会が行われた。今回の研究会にはアメリカン・エキスプレス・インターナショナル、エスティー ローダー グループ クリニーク事業部、カゴメ、サントリースピリッツ、VAIOの5社からマーケターが参加した。5名の参加者中3名が女性という華やかな雰囲気で研究会は進められた。

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参加者

  • アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 個人事業部門 アクイジション・マーケティング統括 上席副社長 中島好美 氏
  • エスティー ローダー グループ クリニーク事業部 マーケティング本部長 石橋浩子 氏
  • カゴメ 東京本社 コーポレート・コミュニケーション本部 メディアコミュニケーション部 広告グループ課長 西村晋介 氏
  • サントリースピリッツ 宣伝部長 鈴木あき子 氏
  • VAIO 執行役員 マーケティング・セールス/商品企画担当 花里隆志 氏

JAPAN CMO CLUBの加藤希尊氏は冒頭に、これまで6回の研究会から、多くの企業が市場の縮小やコモディティ化という課題に対して、「お客さま目線」に立ち戻ろうとしていることが見えてきたと話した。消費者がどのように企業との関係性を築いていくのかをカスタマージャーニーという観点でとらえることが、マーケティングによって引き起こされるイノベーションにつながっていく。

今回も「お客さまとブランドの接点で一番重要な瞬間は? 」という問いから、各社のカスタマージャーニーをひもといた。

花里隆志氏(VAIO)

「プロフェッショナルクリエイターとのリレーションシップ」

影響力のあるマンガ家などのプロフェッショナルのクリエイターとの関係を構築し、そのクリエイターからのユーザーとしての発信をメディアとしてとらえ、それを見るクリエイターのフォロワーやクリエイターを目指す人々に影響を与え、最終的な購買につなげる。

そのために、専門学校の講師やマンガ家など、影響力が高いクリエイターとの関係を構築し、講演会などを通じて発信してもらう場をつくっている。

中島好美氏(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル)

「入会するときと、カードを使用したとき。カードを無くすなど、困ったときにこちらが手を差し伸べられる状況になったとき」

カード自体は持っているだけでは面白いものではない。使ってもらい、一生涯使い続けてもらうために、お客さまのライフタイムに合わせたタッチポイントを用意し、それを最適化することが重要。企業側が強制する形で体験をつくるのではなく、お客さま自身がそれを選んでいただけるように仕向けるコミュニケーションを目指している。

お客さまがカードを無くしたり、海外旅行中に病気になったり、困った状況でこちらを頼ってもらえたときは非常に重要な機会となる。他社よりも素早くカードを再発行したり、病院を紹介したり、コールセンターの担当者が「大変ですね」と親身になった対応をすることで、お客さまの気持ちを動かし、結果として、体験談が拡散されることにつながる。

石橋浩子氏(クリニーク)

「カウンターでコンサルタントがお客さま一人ひとりとお話する場」

化粧品、特にスキンケアの場合には自分の肌に合うものに出会ったら長く使い続けるという点がユニークなところ。肌は一人ひとり違うし、ライフステージによってもニーズが変わってくる。お客さまにカスタムケアをご提供し、『自分の肌にあう』『自分のなりたい肌になれる』と実感していただけることがカスタマージャーニーにとって重要なポイントになる。

お客さまは商品や肌に対する一般的な知識はたくさん持っているため、カウンターでのコンサルタントの仕事は、お客さまが持っている知識をその人にとってどう利用することが良いのかを伝えること。そのことをデモや体験を通じ、驚きをもって実感してもらうことでお客さまの心にイグナイトを起こすことができる。

西村晋介氏(カゴメ)

「健康や美容など、自分のカラダのことを意識する瞬間」

生鮮トマトや野菜ジュースなど日々の健康生活にお役立ていただく商品だからこそ、お客さまが健康を意識する瞬間にアプローチし、健康ベネフィットを伝えることが大事。特に、ネット上で健康情報を知るお客さまが増えており、野菜ジュースのメリットをポジティブに受け止めてもらえるようお客さま視点で編集、発信することが必要。

コアなファンづくりには、工場見学やトマトの苗プレゼントといったメーカーならではの体験の場の役割は大きい。またFBやファンサイト会員など共感度の高いお客さまは、将来的には、トマトや野菜ジュースの健康情報を広めてくれる発信源としても期待したい。

鈴木あき子氏(サントリースピリッツ)

「初めて飲んだ時に、美味しいと思ってもらう瞬間」

初めて体験した時の印象は、その後のお客さまとブランドの関係性に大きな影響を与える。

メーカーは工場出荷時の品質は管理できるが、お客さまにとって最も大事なのは飲む瞬間の品質だ。特に飲食店様での出会いは重要だ。ハイボールで言えば、いきなり角瓶のボトルを自宅用に購入することはハードルが高くても、飲食店でおいしいハイボールを飲んだことがきっかけで自宅でも飲むようになった人は多い。

体験イベントは、飲んでいただく瞬間までメーカーが直接関わることができる唯一の場となるため非常に重要視している。飲食店やイベントでの感動体験が、最終的に自宅での継続的な飲用につながることをカスタマージャーニーのキーとしている。

次ページ 「パーセプションギャップを解消するためには時間をかけた啓蒙活動」に続く

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