元カトキチTwitter部長・末広栄二氏、ハーバー研究所の社長に——「企業の幹部はネットユーザーの空気にもっと触れるべき」

※本記事は広報会議2015年8月号の特集「経営トップは今、何を語るべきか」から抜粋して掲載しています。

 

ハーバー研究所 社長 末広 栄二 氏

「かとぉおお~~~~きちぃい~~~~」の仕掛人

「加ト吉」ブランドで有名な冷凍うどんメーカー・テーブルマークの「Twitter部長」として名をはせた末広栄二氏が6月21日、ハーバー研究所の社長に就任した。

Twitter部長といえば、2009年のNHK紅白歌合戦で、レミオロメンの『粉雪』のサビに合わせつぶやいた「かとぉおお~~~~きちぃい~~~~」というツイートがネット上で広く話題になった、その仕掛人である。その後も「おそれいりこだし」「麺類皆兄弟」などのギャグで企業公式アカウントの「中の人」ブームの先駆者とも言える存在となった。

そんな末広氏が化粧品メーカーのトップに就任した今、社内外にどんなメッセージを発信しようと考えているのだろうか。広報会議編集部では6月上旬、末広氏に直撃した。

社内コミュニケーション改革の第一弾は「社員証の顔写真」から

——末広さんの活躍によって広がったTwitterの「中の人ブーム」から5年ほど経ちます。Twitter部長から社長になった今、当時を振り返るとどんな思いで取り組まれていましたか。

当時、テーブルマークでTwitterを始めた理由は、商品の告知や宣伝ではなく自社のメディアを持ちたいと考えたため。そして、Twitterを通して会社とお客さんの間に新しい関係を築くことが目的でした。当時のテーブルマークはお客さまと社員の距離が遠かったため、Twitter がお客さまとの距離を近づけるためのツールになっていました。

2011年に丸亀製麺に移った後は、さらに一歩踏み込んで社員とお客さまの垣根を取り払うために活用していましたね。

新商品発売時にツイキャスでオフィスから新商品紹介の様子を中継し、周囲はみんな仕事をしている中で、こっそりうどんをすするという微妙な緊張感がネット上で受け、話題になったことも。商品会議をネット上で展開し、ネットユーザーの声を商品開発に活かすといった取り組みもしていました。

——まさにソーシャルメディア活用のあり方も進化を遂げています。今後、ハーバー研究所のトップとして注力したいことを教えてください。

一番は、ソーシャルメディアを活用してきた知見を社内コミュニケーションに活かすことですね。例えば、社内のグループウェアをより活用してもらうために、改革の第一歩として、社員証の顔写真づくりを実施しています。

一般的な会社では写真を撮って終わりですが、当社ではデザインチームが各従業員の顔写真を撮影し、レタッチまで手がけます。この狙いは、グループウェアのアイコンとして顔写真を使ってもらうことにあります。

通常、アイコンに自分の顔写真を使用する人は少ないのですが、社員の気に入るようなベストショットを会社側が提供することで、多くの社員がアイコンに自身の顔写真を使うようになるでしょう。顔と名前を覚えてもらいやすくなり、グループ間の距離を縮めることができるのです。

次ページ 「「人間の性質」を汲み取るネットユーザーはマネジメントに向いている」へ続く

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