全米で同性婚が合法化——グローバルで急務、LGBTへの対応

婚約指輪の広告に同性カップルを起用

創立178年の老舗ジュエリーブランド・ティファニーは今年1月、同社で初めて同性カップルをモデルに起用した広告キャンペーンを開始した。婚約したカップル7組を写し出したプリント広告のうち、一組が男性同士のカップルだ。同社広報担当リンダ・バックリー氏は「彼らは(モデルではなく)実在するカップル。真の愛とはさまざまな形から起こりうるものだ」とCNNに企画意図を説明する。

ティファニーが初めて同性カップルを起用した広告。

J.Crew、BANANA REPUBLIC、J.C.Pennyなど、アパレル業界では、早くからLGBTをターゲットにした広告が展開されてきた。GapはLGBTの擁護団体GLAADが提唱するキャンペーン「Got Your Back」の一環として、6月1日にムービーを公開した。ムービーには、Gapの社員13名が登場。LGBTとして家族や友人に本当の自分を告白するまでの苦悩を明かし、「本当の自分をさらけ出すには周囲のサポートが必要」と語る。そして「今でも(ゲイであることで)学校でいじめられたり自殺したり職を失う者がいる。声をあげよう。そしてサポートを求めよう」と訴える。Gapの社員団体GEARのポール・テュー氏は「グローバル企業として、地元の同僚から世界各地の社員まですべての社員と顧客に、このサポートを感じてもらうことが重要」とハフィントン・ポスト紙に述べている。

Gap「#GotYourBack」

元オリンピック・メダリストも

6月の「Gay Pride Month」を前にホワイトハウスは5月29日、オバマ大統領の声明を発表した。「すべての人が均等に権利と機会を得るまで、本当の平等が実現されているとは言えない。誰かが差別に直面すれば、我々すべてに影響を及ぼす。LGBTが法の下に他の人々と同じように扱われるまで、我々の旅は終わらない」。

『Vanity Fair』7月号の表紙。

元オリンピック・メダリストのブルース・ジェナーは今年5月に性転換を行い、「ケイトリン・ジェナー」となった写真をファッション誌『Vanity Fair』の表紙で公開して、話題を呼んだ。Twitterアカウント「ケイトリン・ジェンナー(@Caitlyn_Jenner) 」を新たに開設して前述の写真を公開すると、開設後4時間でフォロワー数が100万人以上に到達。それまでオバマ大統領が持っていた「5時間で100万人」という史上最速記録を破った。

それは、LGBTに関する理解が深まり、多くの人々が彼らを応援している証でもある。LGBTを応援する企業に好感を持つ消費者は確実に増えており、企業はLGBTに対するマーケティングを慎重に検討・強化する必要があるだろう。


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松本泰輔(まつもと・たいすけ)
Coast to Coast Marketing Services代表。

AEとして約10年広告代理店勤務 後、1995年渡米。大学院卒業後、ニューヨークの 広告代理店にて通信・金融・食品会社などを担当し、 2005年独立。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング、ジャーナリズム分野にて幅広く活動。2011 年、宣伝会議より『フェイスブックインパクト』を共著にて発表。

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