カンヌで出会ってカンヌで受賞!
−−おめでとうございます!お2人の率直な今のお気持ちは?
川地 嬉しいです、ありがとうございます!カンヌ全体が、広告の未来の方向性を世の中に打ち出していこう、という姿勢を打ち出す中で、カラッと笑えるものって実は少なかったと思うんです。審査においても、それがいい方向に作用したのかもしれません。
加藤 めっちゃ嬉しいです。フィルムクラフト部門で取れたのが特に嬉しかったポイントですね。
川地 フィルムクラフトはあのマシンを作ったことへの評価だと思います。それは加藤さんはじめAOI Pro.の方々のおかげです。
そもそも、プレゼン前日の夜中に企画して、翌朝プレゼンして、その日の夕方にはもう決まって、企画が決まってからローンチまで1カ月しかない、という状況で。全然できるかわからなかったけど、こんな企画を相談できるのは加藤さんしかいないと。プロトタイプができるまではどうなるかわからない、という状況の中で一緒に進めてきた仕事でした。
−−お2人にとって、このCMはどんな思い入れのある仕事だったのでしょうか?
加藤 とにかく、CDとめちゃくちゃ(長く)話したな、という印象です。
川地 夜な夜な、12時くらいに集まって3時くらいまで話す、というのを続けてきました。演出の方向性はどうする、見せ方はどうする、というのを監督も交えて延々と。実は会社も家もとても近くてそれも幸いして。
そもそも、一昨年のカンヌで加藤さんとは出会ったんですよ。共通の知人がAOIさんのパーティで紹介してくれて。
加藤 僕が担当するCDの人はみなさん粘り強い人が多いんですけど、特に川地さんはプロデューサーの話をすごくよく聞いてくれる人です。ディスカッションの内容がいつも濃かった。話せば話すほどどんどん良くなってくる感じがありました。
川地 当初は料理番組でないものも含めて、だいぶ色々な方向性がありました。世界一速いルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラスイッチのようなもの)を作ろう、というのが出発点で、そこに料理のエッセンスが加わって、今のような形になっていったんです。
それをCMのように見せるのか、それとも素人が撮ったように見せるのかでずいぶん検討しましたね。今考えると、ちゃんとCMのていにしておいてよかったなと思います。
−−最初から海外で話題にすることを想定していましたか?/font
川地 そこも、相談しながら考えていきました。海外の方に見てもらって再生回数を増やしてまた日本の人にも見てもらう、というメソッドにしたので、ノンバーバルでわかる内容になっています。
加藤 PR予算を使わずに(=PRを仕込まずに)どう再生回数を達成するか?にとにかく頭を悩ませましたけど、結果的にオーガニックでものすごい広がりを見せて。リロードするたびに50万回再生増えていったときには、本当に背筋がぞわぞわっとなりました。
これまでも「バイラルビデオ」というお題は何回もいただいていて、業界内で話題になるものもできたけれど、田舎の滋賀県の中学校の友人や両親までもが「あれ見たよ」という体験はなかなかない。日本の普通の人が割と見ている、という状況をPRなしで成し遂げたんだ、というのはとんでもない体験でした。
こんなことがあるなんて信じられない、と。
−−見事、今年の日本の一番の受賞作になりました。本当におめでとうございました!
勝率の高いプレイヤーほどアイデアの着想をカンヌから得ている!
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http://www.sendenkaigi.com/class/detail/latest_cannes.php