1980年代のラジオは既にフラッシュモブを開発していた!
中村:澤本さんとカンヌでお話されたときに僕もいたんですが、あのときは思い出のラジオ番組の話で盛り上がっていましたよね?
澤本:「ミスDJリクエストパレード」ね。
嶋:1980年代後半に文化放送が始めた番組で、当時はすごく新しかったんですよ。プロのアナウンサーではない人が番組を持つ走りで。その後、テレビで女子大生が出てくる番組の「オールナイトフジ」や「夕やけニャンニャン」が始まって。その原型みたいな番組でしたね。
権八:どういう人がやっていたんですか?
澤本:当時、女子大生だった川島なお美とか。タレントさんもちょっと入っているけど、基本的には女子大生の普通の人が出てきて、僕らみたいにしゃべっている感じで。
権八:それは新しいでしょうね、きっと。当時だったら。
嶋:小学生でラジオを好きになったとき、テレビよりも自由な感じがすごくしたんですよ。つくり手がかなり臨機応変に、状況に応じて変えていくみたいなところが大好きで。上柳昌彦さんというアナウンサーの方が月曜二部の「オールナイトニッポン」をやっていたんですけど、本当に適当というとあれですけど(笑)、すごい番組で。
京王プラザホテルの上層階から中継で「これから世田谷・杉並方面の方、今から見ているので、電気を消したり、点けたりしてください」と呼びかけたり。これは今の広告業界でいうところのフラッシュモブですからね。
一同:確かに(笑)。
嶋:80年代のラジオは既にフラッシュモブを開発していたわけですよね。吉田照美さんの「てるてるワイド」という番組が一番フラッシュモブを頑張ってやっていました。総武線のある車両に乗って、そこで突然みんなで乾杯するとか。
中村:番組で企画してみんなで一緒に企んで、リスナーがオフ会みたいに集ってやろうぜ!という感じですね。
嶋:吉田照美さんが東大の合格発表に行ってバンザイするとか。そしたら、本当に照美さんが東大合格したと思われて、ニュースに映っちゃったこともあって(笑)。そういうのを聴いて「ラジオって自由だ」と思ったんですよね。あと、放送作家とかつくり手が出てくるので、“つくっている感”というか、メディアをつくる感じが子どもながらに楽しそうだなと思って。
権八:よく色々覚えてますね。
嶋:印象的なものは覚えてますね。ラジオはユーミンさんや中島みゆきさん、ビートたけしさんのような大スターの人達が「生放送をする」というところがいいですよね。ミスDJも生放送で。同じ時間に起きてしゃべっているという一対一の関係で、自分だけがお客さんのような感じで聴くことができる。それがテレビと違う、ラジオの魅力ですよね。
権八:ミスDJは普通の一般の女の子が生放送でずっとしゃべってるんですか?
澤本:そう。だから、「青山学院大学の川島なお美です」と言って、そこから今日起こったこととかサークルの話なんかをして。ちなみに僕は千倉真理さんが好きで。
嶋:「成城大学の千倉真理です」と。千倉真理さんはちょっと舌足らずなしゃべり方をする感じで、たぶん澤本さんはラジオを聴きつつ、「この人かわいい人だな」と想像していたんだと思うんですね。
権八:どんなことを話すんですか、千倉さんは?
澤本:今日食べたものとか他愛もないことで。今でいうと、インスタグラムみたいな感じかな(笑)。
嶋:そうですね。ツイッターとインスタグラムに近いですね。今日お昼に食べたスパゲッティとか。当時はパスタじゃなくてスパゲッティね。