ラジオ部門、デザイン部門、プロダクトデザイン部門、サイバー部門が発表になりました。
今年のデザイン部門は、日本が11本を受賞。相変わらずの強さを見せました。
ただし、例年と少し様子の違うところも見受けられます。
審査委員長のアンティ・ペイン(インターブランド)が会見で強調していたのは「Sense of Social Change」。よいデザインはタッチポイントに留まらずに影響を及ぼしていく、とも言っており、デザイン部門でも他部門同様に社会へ及ぼす影響の大きさが重視されていました。
いきおい、小さないい仕事に光を当てるよりも、スケールを重視する傾向になったようです。今年のデザイン部門のグランプリは、再びVOLVOの「Life Paint」です。
日本から受賞したのは、下記の11点。昨年の17点にはおよびませんが、今年日本の受賞作が少ない中では快挙です。皆さん、おめでとうございます。
ゴールド
- JR東日本 東北新幹線「行くぜ、東北。」(電通)
- ISSEY MIYAKE「PLEATS PLEASE Flowers Series Posters」(佐藤卓デザイン事務所)
- 東京海上日動 全国JOCジュニアオリンピック水泳競技大会 (電通) ※シルバー同時受賞
シルバー
- 慶應義塾大学「Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership(PEARL)」(電通)
- サントリー 響「響Harmony Bar」(博報堂)
- Quiksilver Japan「True Wetsuits」(TBWA\HAKUHODO)
- 東信「Exbotanica」(SIX)
ブロンズ
- ホンダ サンパウロモーターショー2014-15「HONDA. BEAUTIFUL ENGINES.」(もり+電通)
- 吉田秀雄記念事業財団 アド・ミュージアム東京「鉄のマインド ONE SHOW 2013」(電通)
- 森ビル「Flower Lush in Roppongi Hills」(AD&D Tokyo)
日本人審査員の土橋通仁さん(電通中部)、今年の審査はいかがでしたか?
「僕らはCIEと呼んでいたのですが、C=クラフト、I=アイデア、E=エクスペリエンスの3つを基準に審査しました。グランプリのボルボLife Paintは人の動線をひっくるめてのデザインという形で評価されました。ちなみに、対抗馬はバーガーキングのProud Whopperでした」。
「Proud Whopper」は、LGBT文化を讃えるイベント「Proud」に合わせてバーガーキングが限定発売したワッパーです。レインボーカラー(LGBTの尊厳と社会運動を象徴)の包み紙に包まれたワッパーは、実は特に材料や味が異なるものではありません。食べ終わると包み紙の内側には「We are all the same inside(私たちみんな中身は同じ)」のメッセージが印刷されており、そこで皆がメッセージに気づくという仕組みになっています。
土橋さんに、日本の受賞作についても聞きました。
「ゴールドを受賞した『行くぜ、東北。』は広がりもあり、機能的でもある。東北を活性化させるという思想もはっきりしていて、そこが評価されました。日本の作品はクラフトへの評価はどれも高いのですが、広い意味で世の中を動かす、という思想や結果を伴っていないと、なかなか上位には行けない。日本で『デザイン』という言葉からイメージするものとだいぶ違います。それが僕自身審査で意外だった点でしたし、日本の作品が苦戦した点でもありました」。
ちなみに、土橋さんは今年初のカンヌ審査員でもありました。そちらの感想はどうだったのでしょう?
「大変でしたよ!ランチで各国の審査員と楽しそうにおしゃべりしているナージャさん(注:サイバー審査員)がうらやましくて(笑)。他の審査員へのお土産に抹茶味のキットカットを持っていって、ここぞ!という時には配ったりもしましたね」。
抹茶味のキットカットが出てきたときには、俺には言いたいことがある!ということですね。映画『ジャッジ!』をほうふつとさせるエピソードです。土橋さん、本当にお疲れさまでした。
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