ゲーム実況動画配信大手「Twitch」、世界的ゲームイベントのライブ視聴者数が2000万人を突破

グローバルで成長続く、ゲーム実況とe-Sportsの市場

日本ではあまり馴染みのないTwitch。同プラットフォームの主要コンテンツであるゲーム実況やe-Sports(※)の配信自体、ゲーム業界内では定着しているものの、業界外で話題にのぼることはそう多くない。しかしグローバルでは昨今、この市場の成長が著しい。

(※)e-Sports:「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、コンピュータゲームで行なわれる競技(スポーツ)のこと。海外では、従来のプロスポーツと同様、スポンサーのついたe-Sportsプレイヤーが莫大な賞金を掛けて競う大会が開催され、多くの人が観戦する。主なゲームの種類には、FPS(First Person Shooting:一人称視点シューティング)やRTS(Real Time Strategy:リアルタイム戦略ゲーム)のほか、サッカー、格闘技などのスポーツゲームがある。(出典:e-sports SQUARE公式サイト)

例えば、ゲーム市場調査「The Global Growth of Esports」(newzoo発表)によれば、e-Sportsの視聴者数は2012年の約1億3400万人から2014年には約2億600万人へと増えており、さらに2017年には3億3500万人を突破すると見られている。

視聴者数の増加に伴い、e-Sports市場の総収益(ゲームパブリッシャーの投資、スポンサーシップ、オンライン広告、ライセンシング、チケット販売など)は2012年の1億3000万ドル(約159億円)から、2014年には1億9400万ドル(約237億円)に。さらに2017年には4億6500万ドル(約569億円)まで成長すると見込まれている。

この成長を牽引する存在として、“BIG4”のうち2社、GoogleとAmazonが挙げられる。前出のTwitchは2014年8月、米Amazonに9億7000万ドル(約1000億円)で買収されている。Amazonにとっては2009年のZappos(約8億5000万ドル)以来、過去最高額の買収案件ということもあり、大きな話題となった。

2006年にダウンロード型動画配信サービス「Amazon Unbox」、2008年にストリーミング型動画配信サービス「Amazon Video on Demand」、その後2011年2月に両者を統合してストリーミング型動画配信サービス「Amazon Instant Video」を開始、

また2012年にはゲーム開発スタジオ「Amazon Game Studios」を設立してゲーム事業に本格参入したAmazon。Twitchの買収により、コンテンツ配信およびゲーム事業のさらなる強化を図ったとみられる。さらに昨年12月には、Twitchがe-Sportsにおけるブランディングやマネジメント、コンテンツ制作などに強みを持つ「GoodGame Agency」を買収。世界トップクラスのプロゲームチーム「United States EvilGeniuses」「Sweden Alliance」のマネジメントや、世界的なe-Sportsの大会「HyperX D2L」の開催などを手掛ける同社を買収することで、コンテンツパートナー(e-Sportsプレイヤーや配信ユーザー)にとってより魅力的なマネタイズ機会の創出や、スポンサーの収益最大化を図っている。

「YouTube Gaming」

そしてGoogle傘下のYouTubeは、E3開催直前の現地時間6月12日、YouTube上での実況を含むゲーム関連動画の総合サービス「YouTube Gaming」を発表した。

YouTubeはすでに、ライブストリーミングサービス「YouTube Live」を提供しているが、ゲーム実況やe-Sportsといったジャンルに関してはTwitchに水をあけられている状況。

E3開催中も、YouTube Liveサイト内に特設ページを開設し、主要各社のプレスイベントやゲームのデモを実況したが、アクセス人数は放送開始直後の12時間で800万人に留まった(The Washington Post「More than 21 million people watched gaming’s biggest annual show on Twitch」2015年6月29日より)。

YouTube Gamingは、まずは米国・英国で今夏ローンチされる予定だ。


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