【前回のコラム】「「プロとしての誇りを持ち、もっと自らを肯定して仕事に臨んでほしい」ーベクトル西江社長に聞く」はこちら
このコラムでは、企業のトップに対して、人材育成について考えていることや実践していることを聞いていく。その中で、「マーケティング思考ができて、なおかつ実際に行動に移すことができる人材」を育成するにはどうすればいいのかを探っていきたい。
今回は、マーケティング戦略の立案から顧客とのコミュニケーションのあり方まで包括的な支援を行っている、メジャースの代表取締役の山本 浩之氏に聞いた。
「顧客目線」の考え方を、社内コミュニケーションにも生かす
——貴社がリーダーに対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?
大きく3つあります。まず、「物事を俯瞰で捉える力」です。全体を平面的だけではなく俯瞰で捉え、自分の立場やシチュエーションに応じて瞬時に全体を見渡せる力が必要です。また、ただ全体感を捉えるだけでなく、その中での優先度の高いものから進めていくことが必要です。
例えばイベントを行うにしても、その準備のためには様々なタスクが発生します。必ずやらなければいけないことに加えて、お客様からの追加のリクエストや変更事項も加わってきたりしますが、それらに場当たり的にこなしていては全体が見えず成功につながりません。リーダーには、全体を見渡した上で正確な指示を下すために、「常に俯瞰で捉えなさい」と伝えています。
また、優先度を見極めるという意味では「バランス感覚」も重要です。刻一刻と状況が変化する中で、何に一番注力すべきかを判断するバランス感覚。常に優先順位のアンテナを張り巡らせて、変化に柔軟に対応してプロジェクトを回していくことが求められていると思います。
最後に、マーケティング的な思考で言うならば「顧客目線」も必要です。お客様が何を求めているかを把握することはもちろん、社員同士のコミュニケーションでも相手の目線を意識することは重要だと思います。
——そういった「求める力」を伸ばしてもらうために、具体的に行っている施策などはありますか?
先の「相手目線に立ったコミュニケーション」によって、リーダーから部下へと成長を促すような仕組みを作っています。具体的には、リーダーは新入社員から中途採用問わず、できるだけ時間を作り1:1でコミュニケーションを図り、スタッフ自身の「付加価値」を出せるようにアドバイスをしています。
そこから、コミュニケーションの仕方や、言葉のかけ方など、学べることもたくさんあると考えています。一般的に若手の社員は、仕事が増えると「もう自分の限界です」と、わかりやすく感情的になってしまいがちです。そうしたときに、「なぜその仕事をしているのか」「この仕事は何が目的なのか」という、疑問や目的の部分をしっかりと説明して、部下に合わせた成長と本来あるべき姿を想像させ、ゴールまできちんと導いてあげる。リーダーには、そういった成長のレールに戻すサポートとしてのコミュニケーションの機会を増やすようにしています。