書店B&Bの経営は「毎日がマーケティング道場」である(ゲスト:嶋浩一郎さん)【後編】

本屋では毎日が総選挙、センターはどの一冊?

嶋:全国の本屋を取材する中で、駅前の小型の本屋さん、街の本屋さんはなかなか経営が難しいと聞いて。B&Bは、そうした本屋が成り立つビジネスモデルに挑戦してます。たとえば、本だけだと厳しいので、ビールも売ってみるとか。ビールを売るとさらに本が売れる。本屋の1つの企業努力としてビールを売っています。あとは毎晩イベントもやっています。ぜひ皆さんの番組のイベントもやってください。

澤本:B&Bで収録するというのは?

嶋:ぜひぜひ。いいですね、本屋で収録。

権八:楽しそう。嶋さんがさっき面白いことをおっしゃっていて、「本屋は植木と一緒だから毎日行かないとね」と。

澤本:毎日行かれてます?

嶋:行ってますね。B&Bは7千冊ぐらいの本を置いてありますが、30坪の本屋にしたら少ないほうです。置こうと思えば2万冊ぐらい置けるんですけど、そのくらいに絞ったほうが本屋のキャラクターが出やすい。冊数を少なくしたほうが特徴が出るんですよ。

中村:あえて少なくしていると。

嶋: 5分ぐらいで全ての本を見ることができるけど、その5分で浴びる情報量は半端ない。その中で、こんな本も欲しかったと気づくこともある。そうするためには7千冊ぐらいがちょうどいいなと思っています。ちなみに、売れるときは1日100冊近く売れます。

中村:へえ!

嶋:そうすると新しい本を補給する。まさにガウディの建築的に、ちょっとずつ、ちょっとずつ変わるんですよ。あと、広告屋さんが本屋さんをやって面白いと思うのは、毎日がマーケティング道場になること。日々1冊面陳するということをやりに行っていて・・・

中村:面陳?

嶋:表紙が見えるように陳列する方法なんですけど、どの本を面陳するかで本棚の見え方が全く変わるんですよね。AKB48のセンターが変わるのと一緒で、「これがセンターに来ると本棚がこういう風に見えるんだ」と変わるんですよ。「今日はどの本が売れるか」みたいな感覚でふらりと行って、「ウッディ・アレンの映画が公開されてるな」と思ったら、ウッディ・アレンの伝記を面陳するとか。面白いですよ。今度、面陳選手権をやりましょうか。

一同:面陳選手権(笑)。

澤本:それ、参加したい。

嶋:収録するときにこの4人が今日売れそうな本をみんな面陳しておくんです。その日の気分、お店に来る人がどんな気分で来るかというのを予想するみたいなことで、そこが腕の見せどころです。

中村:残念ながら、そろそろお時間です。B&Bでの収録と面陳選手権はぜひやりましょう。そのときのために、嶋さんに聞いてみたいことや感想などがあればsuguowa@tfm.co.jpまで送ってください!

<END>

構成・文 廣田喜昭

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