検索やポータルはスマホでは通用しない
これはデジタルマーケティングのトレンドで考えれば、PCでは当たり前だった、検索行動やポータルの強さが失われていくということでもあります。検索は能動的に情報を得ようとする行動ですが、それは個人によって大きく異なり、スマホによってタイミング、場所、ニーズといった文脈がより重視されるようになります。
ということは、ユーザーはその個人にとって意味のあるものからしか影響を受けないということであり、検索行動自体はかなり幅の狭いものになります。同時に、多くの人が必ず見るようなポータルの価値が減っていきます。
それよりも、どういう人が見ているか、それが自分と同じ志向を持つ人かどうかがわかるような親近感のあるコミュニティだけに偏っていきます。これは、ソーシャルメディアによってすでに「タイムライン」として規定されているものです。さらには、ソーシャルに限らず、「MERY」や「Antenna」、「LINE」のようなスマホに特化したアプリによって、ニュースやコミュニケーションにおいても同様のことが起きていきます。
むしろ同じような趣向の人々に向けて情報がキュレーションされるようになるため、空気を読まない企業のコミュニケーションが忌避される傾向が強まります。これは広告が、その場に合ってネイティブ(自然)であること、つまりネイティブ広告が求められる所以であります。
言うならば、かつてはパーティの主催者がドレスコードやルールを決めていたのに、いまやパーティの参加者一人ひとりが主催者のようにルールを決めている状態です。そのルールが気に入らなければパーティの参加者は別のパーティに移る(メデイアを移動する)だけです。
企業がいくらそのパーティの料理やドリンクをホストしていようが、参加者がそのコンテンツを気に入ってくれなければ、そのパーティには来てくれないばかりか、耳も傾けてくれません(スキップされる。無視される)。
そして、企業が開き直って「このパーティの主催者は自分だから言うことを聞きなさい」なんて言おうものなら(広告がスキップできない。しつこく広告が表示される)、瞬く間にその意図を察して「あの企業は横暴だ」と拡散し、炎上します。
主導権は消費者にあるという現実は、スマートフォンという非常にパワフルなパーソナルデバイスを中心にした時代だからこそ起こり得ることです。