マーケターが生き残るために知っておくべきスマートフォンのこと

スマホと生きるためにはルールを作るのではなく準じる

そんななか、最近donutsの「Mix Channel」という、スマートフォンの流れに忠実に運営している動画プラットフォームがあることを知りました。そこにはスマートフォンを中心に生活する女子中高生たちが、大人が想像もできないエネルギーと時間を使って、新しい自分たちが求めるクリエイティブをつくり続け、それを内輪で楽しむという構造ができていたのです。運営する側は、それを「終わらない文化祭」と呼んでいます。

これは、「企業がスマホファーストの現実に追いついていかかなければならない」と考えると大変なことですが、見方を変えればこんなにエキサイティングなものはないということでもあります。というのは、これまでブランドが苦労して手を変え、品を変え、消費者に刺激を与えるために、新しい商品やマーケティングアイデアを提供していたのに、いまやその境界線が曖昧になって、消費者がクリエイターとなって新しいデバイスやコミュニケーションの価値創造に貢献しているからです。

これは単に消費者が積極的にクリエイティブに協力してくれる、という上から目線ではありません。彼らが独自で新しい価値を企業の代わりにつくり出しているという現実です。このことに特に敏感なのは、デジタルによって価値破壊が激しい音楽業界です。テイラー・スウィフトが最近Apple Musicを批判し、その要望が最終的に受け入れられましたが、これを他の産業に捉えると革命的です。なぜなら、商品を卸しているメーカーが、製品を販売している流通を批判するようなものだからです。そして、そういう関係こそ、デジタルが優位になった世界として捉えるべきでしょう。

そしてこの構図は、今後デジタルテクノロジーの進化によって他の業界にも広がっていくに違いありません。あなたの企業は、その準備ができていますか?

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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