カスタマージャーニーは大事?マーケターが知っておくべき「消費者体験の3つの変化」

3. 顧客の使用体験が最後ではなく、最前列に

最後のプロセスは、商品の使用や顧客の目的達成の体験です。従来からマーケターたちはこの段階の重要性について「ドリルを買うのは、穴を開けたいからであってドリルが欲しいからではない」と言っていたように、もっとも馴染み深いものです。最近はデジタルメディアの目のくらむようなスピードの変化によって忘れがちですが、顧客のこの体験におけるコア価値は何も変わっていません。

ソーシャルメディアは実際に、この最後の段階で顧客がどのように考え行動しているかを教えてくれます。たとえメディア体験やショッピング体験が最高だとしても、使用体験がよくない限り、カスタマージャーニーは台無しです。デジタル化はこの使用体験を最後のものではなく、マーケティングの最前列にすることを可能にしました。Uberやairbnbは、まさに顧客の移動や旅において何を達成すべきか、という体験を最大化させることに成功しています。両者は使用体験において何が大事であるかということをよく理解しています。革新的なデジタルサービスの多くはこの使用体験に注目する以上にフリーミアムモデルを取り入れることで、「まず楽しんでもらい、お代は後で満足に応じて払ってもらって結構」という形さえできます。Apple Musicのようなサブスクリプションサービスが3ヶ月間無料のサービスを先に提供するのも使用体験の大切さを理解しているからです。

この3点によって、なぜカスタマージャーニーについて考えてみることが重要なのか、理解できると思います。最後に、みなさんがカスタマージャーニーを再考するに当たっての5つのヒントをお伝えして終わりにしたいと思います。それでは良い旅を。

1.あなたのすべてのマーケティング活動を顧客の視点で定義してみること。
2.カスタマージャーニーのすべてのプロセスとタッチポイントを可視化してみること。
3.体験における顧客の情緒的なインサイトを見いだすこと。
4.最悪と最高の体験を発見すること。
5.もっとも重視する体験にフォーカスしてそれを改善し続けること。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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