※インタビュー全文は『広報会議』9月号(8月1日発売)に掲載されます。
「広報は天職!」と胸を張って、笑顔で頑張りました(笑)
——山口さんは広告や広報の世界に元々興味があり、弊社発行の『広報会議』もご存知とのこと。ありがとうございます!
『宣伝会議』『ブレーン』をよく拝見していて、『広報会議』も時々手に取って読んでいました。今回、ドラマで広報担当の役を演じることが決まってからは、お守りのように大事に持ち歩いています。だから「いつもお世話になっております!」という気持ちです(笑)。私たちのように、何かを表現して伝えるという仕事にはPRの視点が必要ですし、改めて広報ってどんな仕事なんだろう?と、色々調べてみました。
中でも印象に残っているのが、広報に必要な資質について「1に笑顔、2に人間力、3は論理的思考……」と書かれていたこと。「広報は万人に好かれなくてはいけない」という記事を読んで、慌てて笑顔の練習を始めました(笑)。完璧な人柄を求められ、企業イメージを左右しかねない責任重大な仕事なのに、実態が伝わりにくいことで評価されにくいのが「広報」と知り…現場のご苦労を思うと、何だか暗い気分にもなりました(笑)。
広報の力がなければ、どんなに素晴しい企業活動も伝わらない
——台本を読んでみて、広報の仕事のイメージは変わりましたか。
広報会議の表紙に「広報の力で企業は変わる」とありましたが、本当にその通りだと思います。広報の力が不足していたらどんなに素晴らしい企業活動も陽の目を見ることはないかもしれません。PRの方法、切り口を変えた途端に新たな魅力が加わることもあるし、可能性は無限大。責任は重くてもやりがいのある仕事だと感じました。
このドラマの舞台であるサンライズ物産のように、失墜してしまった企業のブランド力をいかに取り戻すのか——そこにも広報の役割があるわけですよね。対外的なブランド力が落ちたということは、同時に、社内の士気も下がっているということ。不祥事を起こしてしまった本人は辞職や出向、異動など何らかの形で責任を取った格好にはなりますが、まだまだ企業は存続していく。企業イメージの回復はもちろん、残された社員の心をつなぎ止める、現場の士気を上げることも、広報の腕の見せどころだと思うんです。
つまりすべてを背負っているのではないか、と。ある意味、最後の砦というか、外にも内にも全方向に意識を向けなければいけない難しい仕事なのかもしれない、とも感じています。
——ドラマは初回から戸田恵梨香さん演じる「神狩かおり」が謝罪会見に臨むシーンがありました。
あのシーンは胸が痛かったですね。だけど、恵梨香ちゃんが演じるかおりは力強く、たくましく、美しいんです。謝罪会見後、かおりは危機対策室へ異動が決まって、私が「大丈夫?ちゃんとやってる?」と声をかける場面があったんですが、彼女のリアクションは「あ、大丈夫なんで私。ご心配なく」と予想以上にサバサバした切り返しで。
彼女の言葉には、弱さなんて絶対に見せない!不遇、不運には屈しない!という強さがあふれていて。負けてられないなと、火がついたんです。テレビの画面越しに、微かな火花を散らしている女同士の闘い、みたいなものが伝わったら嬉しいです(笑)。
広報も役者も「伝えたい」と闘う気持ちは同じ
——山口さん自身、女優としてのキャリアを積む中で、企業で闘う女性を演じる機会が増えていますよね。
そうですね、社会の一員として認められる年齢になったのかな、と思うと嬉しいです。一方で、「さて、あなたの中には何があるの?」と、真価を問われているとも感じます。それって怖いんだけど、ワクワクする気持ちも強くて。本当に今、仕事が楽しいんですよね。「役者の基点は自分である」——これは尊敬する先輩にいただいた言葉ですが、一度自分を受け入れたら、自分を試してみることが面白くなって、監督の指示にも「+αで何かやってやろう!」みたいな状態です(笑)。
もちろん自分が伝えたいことを100%相手に届けるのは難しくて。かといって失敗を恐れて守りに入れば明日はないぞ、挑戦あるのみ!と自分に言い聞かせています。きっとその難しさは広報のお仕事も同じですよね。皆さんも日々、闘っているんだ!と感じられたことで、私ももっと頑張らなきゃ!という気持ちになりました。
『リスクの神様』監修者 白井 邦芳さん(危機管理コンサルタント)のコラムはこちら