コピーライティングは鏡花に学べ――嵐山光三郎さん講演
泉鏡花は、明治の文学者で言うと、夏目漱石と並んで国民的作家として愛されている存在です。小説もありますが、むしろ演劇や映画によって広く知られています。金沢では、泉鏡花のことを頭に入れて廻るといいと思います。
鏡花は約300編の小説を書きました。言葉遣いのうまい、コピーの達人です。明治のコピーライターと言ってもいいでしょう。ずばっと、急所をつかんだ言葉の選び方をする天才的な人です。鏡花は明治6(1873)年に金沢の下新町に生まれました。父は彫金師、母は東京の能楽師の娘です。泉鏡花の中には、生まれ育った金沢と、母親のいた江戸、東京の二つが作品の中に混じっているのが特徴です。
広告表現に携わる人は、言葉で生きていくのだから、鏡花の作品をいくつか読んで、または芝居を観るといいと思います。深く激しく考えて、優しく語るというのがコピーであり、商品の説明です。鏡花は明治、大正、昭和にかけて、それを貫いてきた人です。
金沢は京都と比べられることが多いですが、京都は平安時代を受け継ぐ「雅」が特徴なのに対し、金沢は江戸の「粋」なのです。前提となる美学が違います。
もともと、金沢にはいい言葉がたくさんあります。例えば「空から謡が降ってくる」。金沢は謡の街ですから。それから、私が好きな冬の金沢では、一本道で「雪道を譲る」という言葉があります。細い雪道のことを金沢では「細い雪道を譲る」と言います。このように、身が引き締まるような言葉が多いことも金沢の特徴です。(談)
谷本正憲・石川県知事「石川の良さ、肌で感じて」
北陸新幹線の金沢開業以来、お陰さまで多くの皆様方にご利用いただき、大変な賑わいです。ゴールデンウィーク中の兼六園の入場者数が昨年の2倍、金沢城公園は3倍、金沢市内のホテルや県内主要施設の利用状況は約2割増ということで、開業効果を実感しているところです。私どもとしてはこの効果を持続していく必要があります。また金沢市内だけでなく、県内各地に広めていかなければなりません。
石川県には、日本の原風景ともいえる里山里海が広がる能登、加賀百万石の伝統文化が今なお継がれている県都金沢、そして日本三名山の霊峰白山を仰ぎ見る加賀があります。ぜひそれぞれの特徴を肌で感じていただきたい。そして石川県には、山中、山代、片山津、粟津、辰口、湯涌、和倉、輪島という8つの素晴らしい温泉があります。ぜひ温泉で心身をリフレッシュしていただきたいと思います。(談)
山野之義・金沢市長「魅力発信は企業の責務」
私は20代から30代前半にかけて、コンピューター関連の会社で雑誌の広告営業の仕事をしていました。そのときに感じたのが、良い商品やサービスをつくった会社は、それを多くの人に知らせる責務があるのではないか、ということです。
そして市長になってからは、金沢という街の発信力を高めていくことを常に意識してきました。いい街をつくり、それを市民、県民の皆さんはもちろん、多くの人たちにその良さを知っていただく。そのことを行政の仕事のひとつとして取り組んできました。
もちろん行政だけでは限界があります。広告会社やクリエイター、新聞やテレビや雑誌など、多くの皆様のお力をお借りしながら金沢の魅力を発信してきましたし、これからも努めていきたいという思いでいます。これからも、皆様方と様々な場面で意見交換をさせていただきたいと思っています。(談)