コンテンツとしてクラウドファンディングに注目
――「PR」と「クラウドファンディング」を専門にした会社の提携、最初に聞いたときは驚きました。今回の背景をお聞かせください。
長谷川:クラウドファンディングとPRは、いま密接な関係が生まれています。クラウドファンディングに対する社会からの期待が高まり、その活用事例がメディアで紹介されるケースが増えてきているのです。
PR会社にとって、メディアに取り上げてもらうためのコンテンツ制作は課題、いつもアイデア1000本ノック状態です(笑)。特に、いまの時代は面白いコンテンツをつくり、生活者に共感してもらい、シェアしてもらうという流れがとても重要になっています。クラウドファンディングの仕組みは共感を生みやすく、メディアからも注目を集めやすい。
坊垣:私たちとしても、クラウドファンディングを企業に活用してもらいたいと思っていました。日本にクラウドファンディングが立ち上がったのは4年前の東日本大震災のタイミング。そのため、どちらかというと社会貢献プロジェクトのためのサービスというイメージが先行しがちですが、本来は個人だけでなく企業も使えるサービスです。
私たちが提供するクラウドファンディングのプラットフォーム「Makuake」でも、大手企業が活用するようになっています。その流れから、メディアでの紹介のされ方も変わってきています。
――メディアではどういう紹介のされ方をするのでしょうか。
坊垣:店舗や商品、イベント自体のユニークさを紹介する記事もあります。また、大手家電メーカーでしたら、大企業もクラウドファンディングを使うようになったという切り口もありました。最近は、支援者に対するリターンの設計が面白いということで話題になるケースもあります。
こうの史代氏原作の漫画作品『この世界の片隅に』を映画化するための支援を「Makuake」で募集しました。この支援者に対するリターンは映画のエンドロールに名前が入るというもの。ネット上で話題になった結果、約3,000人から合計で約3,600万円を集め、その結果を受け、配給会社も決定し、来年の秋に正式に映画化することが決定しました。
その他の企画でも、支援した人だけが利用できる馬肉店も話題になりました。商品だけでなく、支援者へのリターンもPRの切り口になっていくと思います。
長谷川:映画のエンドロールに名前がでたら支援者は嬉しいですよね。例えば、リターンとして著名人と握手できたり、有名歌手にヒット曲を歌ってもらえたり、という使い方もできるかもしれない。アイデア次第で共感を生みますし、Web上で拡散される面白いコンテンツにもなっていく。そもそもクラウドファンディングを活用してネット上で商品を紹介すること自体が、一般のユーザーを巻き込んだプロモーションになります。
――クラウドファンディングは企業のマーケティングに活用できるということですね。
坊垣:はい。最近はPRやプロモーションだけでなく、テストマーケティングとして活用するケースも増えています。試作品を「Makuake」で発表して、ユーザーやメディアの反応がよければ量産するという流れです。
支援者の年齢や居住地などの基本的な属性もとれるので、どういった層が支持したのか、今後の商品開発やプロモーションに役立てられる情報が得られます。
長谷川:支援者から集まるコメントも参考になりますね。「ここをこうしたら、もっと良くなる」など、真剣にコメントを寄せてくれます。やはり支援を表明した以上、ユーザーも自分ゴト化して考えてくれるのだと思います。
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