デジタルインテリジェンス(DI.)、エスワンオーインタラクティブ(s1o)、AdNearの3社は27日、オンライン広告配信サービス「リアル行動ターゲティング」を共同で開始すると発表した。数社の広告主の協力を得て関東エリアでトライアルを実施し、今秋には全国で本格的にサービスを開始する予定としている。
「リアル行動ターゲティング」は、AdNearが提供するスマートフォンの位置情報を活用したオーディエンスデータとDSP(Demand-Side Platform)を活用し、スマホ利用者と、駅や主要幹線道路、店舗などの所在地情報を組み合わせることで、生活者の属性や行動・生活パターン、場面に応じて、パーソナライズされた広告を配信することができる。
配信設計および運用においては、トレーディングデスク事業を展開するs1oと、DI.のグループ会社であるプログラマティカが合同で行う。
スマホを含むモバイルの位置情報を利用した広告サービスは、これまでにも存在した。
それらとの違いについて、DI.の担当者は「これまで提供されてきたサービスの多くは、『今、その場所にいる人』への広告配信が中心で、対象者が非常に限定的であることが多かった。リアル行動ターゲティングは、個人情報保護に最大限配慮しながらも、広告主が求める配信規模を担保できるサービスを目指しています」と話す。
新サービス開発の背景についてDI.は、スマホの急速な普及や新聞の発行部数の減少に言及。これまで新商品発売やキャンペーン告知において多く利用されてきた交通広告や折込広告では従来のような効果が得にくくなっており、より生活者に情報・メッセージが届きやすい媒体を視野に入れ、投資配分を見直すことが企業にとって急務となっていると話す。
リアル行動ターゲティングは、7桁の郵便番号情報や11桁の住所コードといった、これまで企業がエリアマーケティングを通じて蓄積してきたCRMデータやその運用経験を引き継ぎながら、配信設計・運用を行う。企業が保有する既存のデータ資産を活用できることが特徴だ。
「交通・折込広告からリアル行動ターゲティングへと完全移行するということではなく、交通・折込広告だけでは足りなくなった効果を補完するとともに、相乗効果を高めていく。これが当面の方針です。そして将来的には、これまで交通・折込広告によって実現されていた広告目的を代替できるレベルにまで、本サービスを育てていきたいと考えています。そのため、オンライン広告の配信だけでなく、街中のデジタルサイネージのプログラマティックをサービスに加えることも視野に入れています」(前出の担当者)。
今回の新サービスを活用することで、例えばアルコール飲料のプロモーションで、これまで「夕方からの広告配信が効果的」と一律的に捉えていたのが、「早朝に出勤し、早めに帰宅する人たち」「出勤時間は遅めで、会社に遅くまでいる人たち」といった生活パターン(時間帯)によるセグメントを用意し、個別の行動パターンに合わせた最適なタイミング・クリエイティブで広告を配信することができる。
あるいは、自動車ディーラーや総合スーパーなどの企業が持つ店舗位置情報と、ターゲットの興味・関心に関するデータをかけ合わせ、商圏や購買行動に近いタイミングに合わせて広告を配信し、店舗送客につなげることもできる。
「検索や閲覧といったインターネット上の行動だけでなく、リアルな行動も、マーケティングにおいては重要なデータ。消費者の行動パターンやライフスタイルが多様化・複雑化し、捉えにくくなっている中、よりパーソナライズされた広告の配信を通じて、企業の効果的なマーケティング活動の実現に貢献したいと考えています」(同)と話した。
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