メディアのバナー広告を買うのと、自分達でメディアを作るのはどちらが安いか?(下・B2C編)

CV率がバナーと比べて10倍の自社メディア

ニキペディアは、タイトル通りニキビのウィキペディアとでも言うべきニキビに関連する総合情報サイト。ニキビに悩む全ての方のためのニキビケア応援サイトとして設立され、ニキビに関する幅広いテーマをカバーした情報サイトになっています。

このニキペディアは、オープンしたのが昨年の2014年2月と比較的新しいサイトですが、月間PVは検索流入を中心に100万近くにまで伸びているそうです。

さらに、ニキペディアの印象的なのは、すでにマーケティング上の成果が明確に出ている点です。

例えば、これまでプロアクティブで実施していたDSPなどの分析を通じて露出していたバナー広告のコンバージョン率が0.2%だったのに対し、ニキペディア経由のコンバージョン率は1.6%と10倍近い数値を達成。

サイトへの流入が、検索経由中心ということもあり、新規比率も80%と非常に高いようで、新規顧客の獲得にも明確に貢献しているそうで、ガシー・レンカー・ジャパンでは、この結果を基にリターゲティング以外のバナー広告の出稿をやめることを決断したそうです。

こうした売上貢献の結果だけ聞くと、ニキペディアに並んでいる記事はプロアクティブの販売のための記事ばかりと勘違いされる方も多いかもしれませんが、実はこのサイトで注目されるのは、真に読者であるニキビに悩む人達のために記事を書くことにこだわっていて、ライバルであるはずの他社商品についてもフラットにレビューを行っている点です。

企業が運営するメディアとなると、とかく自社商品の紹介や宣伝ばかりをしたくなり、他社商品を掲載するなんてもってのほか、となりがちなところを、ニキペディアではニキビに悩んでいる人は当然いろんな商品を比較するはず、という読者の視点から、メディアとしての運営にこだわって記事執筆をしているそうです。

当然、運営者情報には「ガシー・レンカー・ジャパン株式会社」と社名が明記されていますし、表示される広告は基本的に全てプロアクティブなどのガシー・レンカー・ジャパンの商品になるのですが、ニキペディアに記事として並んでいるのは「フェイスラインのニキビで注意すべき点」や、「ニキビの原因になる毛穴詰まりをスッキリさせるポイント5つ」など、一般のニュースサイトでも読まれそうなタイトルの記事ばかり。

検索などでニキペディアに訪問した読者が、サイトの記事を通じてニキビに対する知識を向上し、結果的にニキビに詳しい会社であるガシー・レンカー・ジャパンが提供しているプロアクティブを選んでくれるだろうという自信があるからこそできるアプローチと言えるかもしれません。

当然ニキペディアがここまで明確に成果を出すことに成功したのは

  • ニキビに関連する情報を検索している人が非常に多い
  • ニキペディアでニキビに詳しくなるとプロアクティブ購入につながることが多い
  • プロアクティブがECで販売されており一元的に効果測定ができる

などの条件が揃っているからで、ライオンのように小売りを通じた販売が中心となる一般的なB2Cのメーカーでは、効果測定が非常に難しいという現実はあります。

ただ、自社メディアを運営することで売上に明確に貢献できるのは何もB2B企業だけではなく、B2Cにおいても明確に成果が出ている企業があるという点はぜひ心にとめておいてください。


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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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