【前回記事】「日本人はカンヌで何を語ったか②データ×クリエイティブを担う新たなチーム「Dentsu Lab Tokyo」」
カンヌは海外での初お披露目に最適な場
栗坂:Pepperはソフトバンク初となる、ワールドワイドに出ていくための戦略商品です。この商品を世界のマーケターが集まるイノベーションの最前線の場であるカンヌで、どれだけアピールできるのか、関心を惹けるのかといったところにチャレンジしたいと考えて出展しました。カンヌはそれらを試すうえでは最適なショウケースの場だと思います。
林:Pepperの一般販売を発表したのが今年の6月18日。そのとき、孫(正義会長)がロボット事業で世界に打って出ることもあわせて発表しました。現在は、どうやってマーケットを開拓していくかに取り組んでいる段階で、カンヌへの出展はその第一歩になるものです。Pepperの海外への初のお披露目の場になりました。
佐久間:カンヌで行ったプレゼンは日本で実施したものと大きくは変えていません。日本では、Pepperと言えば「予想外の反応を返してくるロボット」「期待値の斜め上を行く」といったキャラクターが既に認知されていると思いますが、海外ではそこをどのぐらい受け止めてもらえて、ポテンシャルを感じてもらえるのかを見てみたかったんです。
鳥巣:私は、Pepperがカンヌでも笑いを取れるといいなと思っていて(笑)。Pepperは「人によりそうパートナー」がコンセプトのロボットなので、人を笑顔にするエンターテインメントの要素も強く意識していました。
林:他のロボットとPepperの違いも認識してもらえたのではないかと思います。現在は、ロボットの定義が拡大していて、さまざまなものがロボットとして一括りにされてしまう傾向にあります。Pepperも海外の方からすると、これまでの二足歩行ロボットと同じように捉えられかねないので、クラウドにデータを蓄積してAIで感情表現をする、コミュニケーションがとれるなど、独自性を理解してもらうためのエッセンスは全てプレゼンに入れました。そこはご理解いただけたと思っています。
鳥巣:広告会社がPepperというロボットの開発に関わらせていただいた今回の取り組みが、世界中の同業者にとって良い事例となるような、そんなプレゼンになればと思っていました。
林:私たちはPepper自体がメディアになりうると考えているので、広告業界は我々にとって重要なフィールドです。そのため、クリエイティブの部分で広告業界の方々の興味を惹きたいと考えていました。ただ、逆説的なことを言うようですが、広告のために開発したロボットではありません。Pepperは外見とOSのプラットフォームの部分をソフトバンクロボティクスとフランスのアルデバランが共同開発し、人格的な部分であるキャラクター、アプリケーションを電通が担当しています。広告業界にいた電通さんが、たまたまそのスキルを持っていた。だからお願いしたということです。