映画も音楽もCMも、現場が生き生きしていないとダメ!(ゲスト:浅野忠信さん)

浅野忠信さんにCMコンテの説明に行ったら・・・

権八:このリリースに書いてある言葉というのは?

浅野:リリースでよく紙の情報をいただくじゃないですか。僕はあれがあまり好きじゃなくて、紙を見たときに「あ、いつものだな」と思ってしまう。こんなつまらないもの見るかと投げ捨ててしまうんですよね(笑)。

一同:

浅野:その時点で「このCDはたいしたことないな」と思っちゃうわけですよ。そう思われたら負けだと。それで今回、リリースをどうしようかと考えまして。

権八:普通は「満を持してのライブ!」とか「待望のアルバム!」とか書いてありますよね。

浅野:そういうのはどうでもいいと思って。重要なのはメッセージだと考えて、今回のリリースに載せたのは『ポケット!』という曲の歌詞です。このメッセージを伝えなければ届かないのでは、と思いました。

権八:これはぜひ浅野さんに読んでいただけますか?

浅野忠信 熱唱

ポケットの中が空っぽでもいいよ 踊ろう 何もいらない 俺らの街に また朝日がのぼるんだ 腹ペコでもなんとかなる 探そう 歌おう 笑っちまうだろう 俺らの小さい木にまた1つ実がなった まともなやつなんか 誰もいないぜ こっちへ来いよ 一緒に遊ぼうぜ 虹が見えるぜ 忘れられるぜ 俺はおまえと同じ気持ちだぜ

浅野:(歌い終えて)・・・と、こういうリリースです。

一同:おぉーっ!(拍手)

澤本:日本初の歌うリリース(笑)。僕は今、ソフトバンクのCMをやっていますが、昔はauのCMをやっていて、そのときに浅野さんに出ていただいて色々ご無理を申し上げて。

浅野:面白かったですね。

澤本:覚えているのが、浅野さんが映画『殺し屋1』に出ているときで、口が頬のところまで裂けていたり、色々なところが切れているメイクをしていて。その浅野さんにコンテの説明をしなければいけなくて、とても怖かったのを覚えています(笑)。

権八:そのメイクの状態の浅野さんに(笑)。

澤本:ロケ地に行って、コンテの説明をしたときに顔が怖いから、何か下手なこと言うと食われちゃうんじゃないかみたいな(笑)。もう怖い人の役に入っている状態で。ムッとしてる感じでずっと見て、(低い声で)よろしくお願いします、と。その状態のときにこのギャグ言ってくださいとか言いづらくて(笑)。

浅野:そのつもりはないんですけど、友達にも言われますね。顔が怖くなってるとか。僕が覚えているのは船の上で突っ立ってイヤホンをつけていて。

澤本:やりましたね、最初のやつですね。

浅野:あのときは頭が真っ金金で。すごいシュールなシチュエーションで船の先端に立ってイヤホン聴いてみたいな感じでしたよね(笑)。

澤本:浅野さんはかっこよくて寡黙な人だから、変わったことをやってもらおうと思ったんです。でも、説明行くときは怖いんだよね。怒られるかなとか。浅野さんに「申し訳ないんですけど、こういうのを考えまして」と言ったら、ずっと黙っていて、しばらくしてから「やりましょう」と。「いいんですか?」と聞いたら、「やってみなきゃわからないじゃないですか」って。

一同:かっこいい!

次ページ 「20代の終わりに限界を感じて、シフトチェンジした」へ続く

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