本インタビューは『広報会議』9月号特集「社内コミュニケーション 改革のプロセス」でもお読みいただけます。
M&Aの第一線で活躍
運輸・航空業界に大きな衝撃を与えた、国内航空第3位のスカイマークの経営破たん。同社は今年1月28日、東京地裁に民事再生法適用を申請、新たなスタートに向けて舵を切ることとなった。いち早く同社の支援に乗り出したのが佐山展生氏率いる投資ファンド、インテグラルだ。
佐山氏といえば、阪急・阪神合併時に阪急側のアドバイザリーを務め、阪神株式の大量取得に乗り出した村上ファンドとの交渉役を務めたことでもその名を知られ、日本においてM&Aの第一線で長年活躍している人物だ。
現在も投資ファンドのトップとして企業への投資を行い、数々の企業の「変革」に取り組んできた。経営が大きく変化する局面において、従業員にどのような変化が生じるのか。また、社内に必要とされるコミュニケーションとは─。スカイマーク再建のキーパーソンである、佐山氏を直撃した。
民事再生決定、すぐ全支店へ
「スカイマークが1月28日に民事再生の申し立てをし、その翌日の新聞に報じられました。民事再生の開始決定が報じられたのが翌月の5日です。この間、従業員には報道以外に確定的な情報がなく、不安や心配は計り知れないものだったと思います。そのため、民事再生手続き開始決定の翌週から、全国にあるスカイマークの支店をすべて回りました。まずは従業員の不安を払拭することが一番の役割だと考えたからです」。
メディアの報道から正式な結果報告までタイムラグがある場合、特に地理的に本社から離れた支店では、間違った情報や憶測が飛び交いやすくなる。このため、何よりも真先に従業員への説明を優先した。最も重視したのが、この説明のタイミングだ。
「(報道後)1カ月後に現場を回るのではダメです。社員の皆さんがどのようなことを考えているかを想像し、先回りをして将来起こるであろう心配ごとや不安を払拭する。スカイマークでは、社員はもちろんのこと、そのご家族も羽田空港にあるスカイマーク格納庫に招き、経営状況に関する説明会を実施しました。説明会では『民事再生は決して破産と同じ意味ではない』といったことから、『90億円を支援すれば、仮にエアラインが支援に入らなかったとしても資金がショートすることはない』『給料の減額や人員削減を行わない』など、一つひとつ丁寧に伝えていきました。加えて、投資する側の利益を追求するものという印象が強いファンドへの先入観を取り払うことも関係者から信頼を得るには必要となりました」。
経営が悪化した企業では、程度の大小はあれど、内部にもひずみを抱えているもの。佐山氏が支援を手がけた企業の中にも、明らかに社内の風土やコミュニケーション不足が原因で、破たんに至ったケースもあるという。スカイマークが破綻に至った要因にも、こうしたひずみがあったのでは─。そう質問をぶつけると、佐山氏はこう即答した。
「スカイマークが民事再生に至ったのは、単純に大きな飛行機を調達しすぎただけ。エアバスA330をリースし、さらにより大きなA380を契約しようとしてしまった。原因はそこにあるのです。民事再生の開始決定後、(最大支援額として提示した)90億円のうち45億円を融資しましたが、その後、追加融資は一切していません。民事再生となると、企業は人員削減に踏み切るケースもありますが、今回はそういった構造的な問題があるケースではありません。原因が単純だと分かっていたので、融資を決断できたのです」。