グランプリ
ヤフー「ヤフートレンドコースター」
あらゆるプロセスを総合的に評価 多角的な議論が導き出した結論
「①ヤフーがトレンドワードを収集していること、②一見“堅い”データをエンターテインメントに置き換えるというアイデア、③アイデアをもとに、すぐにデモを制作したこと、④ジェットコースターの躯体をチェコまで調達に行ったこと…。施策のあらゆるプロセスにイノベーションがあったことを評価した。グランプリは、各カテゴリーの『ベスト』選出作品の中から選んだが、自由闊達な議論を通じて、各審査員の意見も二転三転。本作を推す審査員の“応援演説”を経た決選投票の末、受賞が決定した」(伊藤氏)。
PARTY クリエイティブディレクター
伊藤直樹
ベスト・キャンペーン
寺田倉庫 minikura「minikuLOVE~元カレ・元カノBOX~」
無機質な商品・サービスにヒューマニティーを付加したアイデア
「どの部門も、クライテリア(評価軸)の規定選が非常に難しかった。そのなかでキャンペーン部門は、結果・成果以上に、『アイデアにチャレンジスピリッツがあったか』『面白いことをやったか』を重視。受賞作品はいずれも、見る人をちょっと幸せにする、楽しい気持ちにさせるものということで評価した。minikuLOVEは、従来の広告ではただの機能訴求になってしまうところを、思い切って新しい倉庫の使い方を提案した。商品価値を伝えるだけでなく、そのためにサービス・プロダクトに手を加えるというアイデアが素晴らしい」(岸氏)。
電通 CDC エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター
岸 勇希
ベスト・イフェクティブ
ベリグリ Ravijour「TRUE LOVE TESTER」
真の企業価値の向上に貢献 海外への波及効果を特に評価
「本賞のイフェクティブ部門における『成果』とは何か。いろいろな指標があるが、私はブランド価値や売上、LTV(顧客生涯価値)など、企業価値の向上に貢献したものという観点で評価した。プロダクトをつくり、ユーザーをナーチャリングし、購買をさせ、ロイヤルカスタマー化していく
——マーケティングは、その一連の流れをすべてサポートしなければならない。一つの施策ですべてカバーできるわけではないが、これがトリガーとなり、マーケティング効果が長く続いていくことが大切だと思う」(石黒氏)。
ネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEO
石黒不二代
ベスト・クラフト
本田技研工業 UNI-CUB「DRAWING PRE-VISUALIZATION /HONDA +OK GO :IWONTLETYOUDOWN.COM」
ものづくりに懸ける突き抜けた熱量とつくり込みを評価
「ベストを受賞したのは、ドローンを使った一発撮りのムービー。少しのミスも許されない、緊張感のある作品だ。グッドに選ばれたエイベックスのミュージックビデオは、スマホの縦長画面を有効活用することに挑戦した。またNTTドコモのWeb動画は、“ちょっとした思い付き”のように見えるネタに対して、突き抜けたエネルギーを注ぎ、徹底したつくり込みを行っている。アプローチは異なるが、どの作品も、ものづくりに対する、つくり手の底知れぬパワーを感じた」(深津氏)。
THE GUILD インタラクティブデザイナー/ファウンダー
深津貴之
ベスト・イノベーション、パブリックベスト
スタッフアップ 新人アイドル MIKA★RIKA「フリー素材アイドル」
広告費ゼロでも、アイデア力で突破 新人デビューに常識破りの手法
「コードアワードの最終審査に進む作品というのは、どれもイノベーティブなもので、ベスト・イノベーションの素質があると言っていい。ベストおよびグッドに選ばれた作品も、それぞれに新しいことを成し遂げた。デジタルの世界では、タレントの肖像の流通と著作権侵害とが表裏一体だが、「フリー素材アイドル」はそれを逆手にとった。さらに、広告費をかけずクラウドファンディングで資金を調達するなど、仕事の仕方も非常にイノベーティブ。トータルで、ベスト・イノベーションにふさわしい作品だった」(杉山氏)。
デジタルハリウッド大学 学長/工学博士
杉山知之
「僕がイノベーション部門の審査で大事にしたのは、アイデアの強さと企画の寿命。強いアイデアは当然として、そのアイデアがアドのような一発屋ではなく、長期にわたって展開できるものか否か、そのあたりを大事にした。ベストに選ばれた「フリー素材アイドル」。ライツフリーの写真や動画素材を使った名作は過去にもあるが、そこに“アイドルを有名にする”という文脈が加わるだけで、新しいアイデアに昇華できるのだなと感心。今後も素材のアップデートを続けて、ロングタームに展開するキャンペーンになったら嬉しい」(佐藤氏)。
TBWA\HAKUHODO エグゼクティブクリエイティブディレクター
佐藤カズー
「パブリックベストの結果を知ったのは、すべての審査が終わった後。図らずも『フリー素材アイドル』のW受賞となった。パブリックベストは、ファイナリスト27作品を対象に行った一般投票で、最も得票数が多い作品に贈られた。アイドルとフリー素材を結びつけたこと、そして世の中への登場の仕方も斬新で、新人デビューの流れを大きく変えたと思う」(田中氏)。一般投票者からは、「アイドル業界が飽和している中で、逆転の発想で“著作権フリー”の切り口が斬新すぎる」「素材づくりの経費までをクラウドファンディングで調達し、完全予算ゼロでの展開に拍手。双子の姉妹も可愛い」といったコメントが多数寄せられた。