この連載は、全広連と宣伝会議とのコラボレーションの一環で発行した新聞「アドバタイムズ特別号」の記事の一部を転載するものです。新幹線開業で注目される北陸経済や、金沢の広告界・クリエイティブの今を紹介します。
全日本広告連盟の会員である全国37の広告協会は、広告主、広告業、媒体社ら地域広告界の主要構成員が会員となり、広告賞や顕彰制度、会員間の交流などの活動を展開している。各協会が注目する地域経済トピックスや協会活動について聞いた。
【全北海道】物語がはじまる、北海道新幹線。
タイトルはJR北海道の新幹線開業PRのコピーである。
ついに2016年3月に北海道に新幹線がやってくる。新青森駅より、奥津軽いまべつ駅→木古内駅→新函館北斗駅の3つの駅が新設され、東京から函館まで最短4時間9分まで短縮される。
函館は多くのお客様を迎え入れるため、市内の受け入れ環境整備が急ピッチで進められている。また、函館よりニセコや登別・小樽・札幌、旭川・帯広・釧路などに観光・ビジネスで向かわれる方のために、2次交通整備も急ピッチで進められている。
開業まで300日を切った、今年の北海道の冬は熱い!(全北海道広告協会)
【青森】道南地域との連携を模索
走行試験中の北海道新幹線の車両が5月24日未明、初めて新青森駅に乗り入れた。来年春の開業へ向けて工事は順調に進んでおり、開業後の7月~9月には「青森県・函館デスティネーションキャンペーン(DC)」が予定されている。
青森広告協会では、7月3日開催の定時総会時にDC事務局担当者の講演会を実施し、青森県と道南地域の、古くからの交流・文化・観光資源について、広告業界としてのかかわり方を学んだ。今後も、会員相互の情報交換・交流の機会を設け、広告を通じて地元経済の活性化を目指した活動を行っていく。(青森広告協会)
【岩手】岩手国体視野に 地域の再興へ
2014年4月、岩手県沿岸部を走る三陸鉄道の南北リアス線全107.6キロが完全復旧した。東日本大震災から3年余。住民にとって復興の象徴となる出来事だった。同じく4月にはJR釜石線の花巻―釜石間でSLが40年ぶりに復活運行し、大震災で打撃を受けた三陸観光の再興に期待がかかる。2016年の岩手国体開催に向け、盛り上がりも高まってきた。
岩手広告協会は、7月21日、通常総会の開催と第46回岩手広告賞・岩手広告美術展の表彰式を行い、秋には講演会を予定している。(岩手広告協会)
【仙台】再生へ賭ける想いを新たに
「第64回全日本広告連盟仙台大会」の開催まで1年を切った。仙台広告協会では現在、関係者が一丸となって準備に取り組んでいる。
仙台大会は街中に緑があふれ、1年の中で最もさわやかな季節を迎える2016年5月18日~20日に実施する。大会スローガンは「復興の力を創造の力へ。~杜の都から広告の未来を発信~」。被災地再生へ賭ける想いを新たにし、広告の力で前へ進もうとする我々の心意気を感じてほしい。
今年の12月には会場前の地下鉄東西線も開業。万全の態勢で皆様方をお迎えする。是非復興仙台にお越しいただきたい。(仙台広告協会)
【秋田】協会の「価値」を高める努力を
今年の秋田市は、5月30、31日の両日に東日本大震災からの復興を願い東北6県の夏祭りが集結する「東北六魂祭」が行われ、2日間で26万人が祭を堪能した。このようなイベントでは、情報伝達・コミュニケーション力がいかに大切かを再認識させられる。
3年後に全広連大会開催が予定される当協会の当面の課題は、会員数を増やし、会の体力を増強することである。ここ数年、活動はやや停滞ぎみではあるが、知恵を出し合い、秋田広告協会の「価値」を高め、より県内の広告への興味・意識を盛り上げていくよう地道に取り組んでいく所存だ。(秋田広告協会)
【山形】「日台観光サミット」開き山形で交流促進を議論
アジア地域から日本を訪れる外国人が増加し、日本経済に一定のインパクトを与えていることが2015年版「観光白書」で指摘された。中でも台湾からの来日者は多いが、台湾と日本の観光交流を一層盛んにすることを目的に、5月29日に山形市で「日台観光サミットin山形」が開かれた。
日台双方の観光関係者ら200人が集い若者の交流促進などを決議した。翌30日に酒田市で開かれた「観光立国タウンミーティングin庄内」では、交流拡大に向けた具体策を話し合った。東日本大震災後、東北の観光客動員数は落ち込んだままだが、誘客拡大へ一層の取り組みが望まれる。
山形広告協会は7月2日に総会を開き、本年度の活動方針などが承認された。なお、新会長に山形新聞社代表取締役社長の寒河江浩二氏が、理事長には同社広告局長の大友洋志氏が選任された。(山形広告協会)
【福島】全広連大会 2020年は福島で
福島広告協会は昭和40年4月に発足以来、今年で50周年を迎えた。現在会員数は40社80人を数え、広告の質の向上を図り、生活情報の発信団体として、地域発展と繁栄に貢献できるよう各種活動を展開している。
5月に開かれた全広連通常総会で、平成32年(2020年)の第68回全広連大会の本県開催が決定した。本県での開催は初めて。東日本大震災における津波被害・原発事故から、元気に復興を進める様子を「広告の力」を通して、全国に発信する好機としたい。(福島広告協会)
【千葉】東京五輪を控え 受入体制を検討
2020年の東京五輪を踏まえて、千葉県は官民連携組織「2020年東京オリンピック・パラリンピックCHIBA推進会議」を2014年に設置した。
これは、キャンプ誘致とスポーツ振興による地域の活力づくり、成田空港を中心とした交通ネットワークの強化、バリアフリーの促進、魅力ある観光地づくりなどをについて、〝オール千葉〟で取り組む体制づくりの一環。同会議と連携しつつ、広告ビジネスを考える好機とし取り組んでいきたい。(千葉広告協会)
【東京】講座・セミナーをリニューアル
東京広告協会は、公益社団法人に移行し4年目を迎えた。2月には定時総会を無事終了。当協会の唯一の顕彰事業「東京広告協会 白川忍賞」をシンガタ クリエイティブディレクター佐々木宏氏に贈賞した。
今年度からは「新人アドマン養成講座」を「実践広告スキルアップセミナー」と、「広告問題研修会」を「秋のアドフォーラム」と名称を改め、装いも一新。協会ホームページも完全リニューアルするなど様々な取り組みを行っている。(東京広告協会)
【横浜】横浜ブランドの発信へ連携
横浜広告協会は、横浜商工会議所をはじめ、地元を代表する広告主、媒体社、広告会社により組織している。首都圏に位置するため、支店経済からなかなか脱却できない現状があるが、激変する広告業界に対応すべく講演会や会員の交流会を定期的に開催している。
また、2019年のラグビーW杯や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、地元の魅力・ブランド力の発信を課題として会員各社間で連携し、研究・企画も行っている。
5月の全広連金沢大会では、横浜広告協会から媒体・広告会社の総勢17人で参加し情報交換の場として活用した。今後の地元経済の発展に生かしたい。(横浜広告協会)
【新潟】さらに会員増強へ
1~6月の上期では、協会最大の事業である「新潟広告賞」を選考、昨年を上回る応募があった。また当協会推薦の「防災・減災 新潟プロジェクト2014統一キャンペーン」(新潟日報社主催)が、第9回全広連鈴木三郎助大賞を受賞、地域課題に取り組む広告の姿勢が評価された。
下期では毎年恒例の「情報デー 時の話題」講演会を7月に開催、新潟の農業の魅力をどう発信にしていくかをテーマに、東京から新潟に移住し、農産品付き情報誌「稲花 食べる通信」を発行しているフルーヴ代表取締役の手塚貴子氏が講演した。
課題である会員増強については、担当幹事でリストアップし訪問した結果、1か月間に入会が7件。さらに拡大していきたい。(新潟広告協会)
【長野県】大イベントに参画し地域の活性化に寄与
当協会は1982年発足以来、全広連本部や各地広告協会と連携して活動を続けてきた。
5月31日に閉幕した、数え年で7年に一度開かれる「善光寺御開帳」には、前回2009年よりも約34万人多い、推計707万7700人の参拝客が訪れた。そして、来年2016年には、やはり数え年で7年に一度の「信州諏訪御柱祭」と、「全国植樹祭ながの2016」が開かれる。
当協会としては、会員がそれぞれの立場で、このような地域で開催されるビッグイベントに今後も積極的に参画し、地域の活性化に寄与していきたいと考えている。(長野県広告協会)
【山梨】「住みたい田舎」1位
NPO法人ふるさと回帰支援センターが田舎暮らし希望者を対象に行った2014年の移住希望地域調査で、山梨県が初めて全国1位になった。首都圏へのアクセスの良さやサポート体制などが奏功したようだ。
しかし山梨県人口は1999年をピークに、現在83万人余と減少が続く。「100万人都市への挑戦」を掲げた新知事の就任後、明るいニュースとはなったが、人口増につながるかは未知数。地域創生のために、山梨の魅力を発信する広告、クリエイティブの果たす役割は小さくない。(山梨広告協会)