コピーは「ぱっと見」で決まる!(ゲスト:秋山晶さん)【後編】

秋山さんのコピーは動いているように見える

中村:今日は秋山さんファンの放送作家から質問を1つお預かりしております。以前、『火山のふもとで』(松家仁之著)と『職業、コピーライター』(小野田隆雄著)の2冊をお薦めされていましたが、最近お薦めの本がありましたら、らぜひ教えてくださいと。

秋山:『The Dog Stars』が原題で、邦題は『いつかぼくが帰る場所』という本が個人的にはよかったです。社会の評価がどうかはわかりませんが、ニューヨークタイムズはすごく褒めたらしい。ちなみに、『The Dog Stars』は犬座という意味らしいです。アメリカの若い作家が書いたもので、ドキュメンタリーの作家が書いた小説というのは面白いですね。

権八:秋山さんはもしかして原文の英語で読まれるんですか?

秋山:ごくたまにね。『The Road』(コーマック・マッカーシー著)は原文で読みましたけど、必ず先に日本語で読んでいます。後から英語の本を読むとすごく面白いですよ。こういう表現だったんだ、という発見があるから。

権八:秋山さんのコピーは、ちょっと翻訳調のように感じるときがあります。実際に、英語で先に書いて和訳したりすることもあるんですか?

秋山:ごくたまにあります。ジャックダニエルなど、たとえばアメリカの商品のときですね。キユーピーアメリカンマヨネーズもそうなんですが、ボディコピーです。ボディコピーは考え方が英語になるんですよ。でも、英語といっても完璧じゃなくていいんです。英語で発想するってことが大切だから間違えたっていい。

中村:海外の商品のボディコピーは英語で考えてみる、という方法は新しいですね。コピーは「ぱっと見」であるということも。

澤本:コピーは「ぱっと見」というのは素晴らしいと思う。だって、ほっとけば見ない。ぱっと見たときに見たくなるというのは大事なことだよね。

秋山:僕の場合は、不親切だなと思うことが危ないんだよね。それを親切に言おうと思うと、それが落とし穴ですね。

権八:今は特にそうなのかもしれないですね。スマホでパッと見て、興味があったら見るけど、なかったらどんどん次にいっちゃう。テレビも録画で見たいものだけ見るとかネットで見るとか、ますますザッピングの時代になってて。0.1秒とか「ぱっと見」勝負ですよね。

秋山:家内がPCでよくYouTubeを見ていますね。そうするとテレビはザッピングですね。今はチャンネルが無数にある。僕なんて見る番組が決まっていて、それを見る。

澤本:最初放送に行こうとされていたという話もありましたけど、秋山さんはおそらく、元々映像に興味があるんでしょうね。秋山さんがつくっている広告は、世界観がすごくあるし、グラフィックでも映像が流れているように見える。だからコピーが止まってないというのか、能動的に動いている感じがするんじゃないかなと。

権八:秋山さんは覚えていらっしゃらないと思うんですけど、実は秋山さんにTCCの審査委員長賞をもらったことがあったんです。全日空の沖縄のCMだったんですけど。

秋山:どんなコピーでした?

権八:いや、恥ずかしいんですけど、「空イズSky、海イズSea♪」とスマップが歌いながら踊るという・・・。「This is ビーチク This isビーチ♪」ってくだらない歌詞なんですけど、それを、「言葉がリズムになり、時空を超える」みたいな感じで、すごくカッコよく講評を書いてくださって。

澤本:申し訳ないね(笑)。

権八:うわーっと思って、うれしかったです、あのとき。

秋山:ホットな広告だよね。

澤本:英語で発想した?(笑)

権八:英語で・・・って言っても「空イズSky」だからね(笑)。

秋山:驚きましたよ。

一同:

中村:残念ながら、お時間が来てしまいました。秋山さん、今日はありがとうございました。番組への質問や感想などはsuguowa@tfm.co.jpまでドシドシ送ってください!

<END>

構成・文 廣田喜昭

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