この連載は、全広連と宣伝会議とのコラボレーションの一環で発行した新聞「アドバタイムズ特別号」の記事の一部を転載するものです。新幹線開業で注目される北陸経済や、金沢の広告界・クリエイティブの今を紹介します。
全日本広告連盟の会員である全国37の広告協会は、広告主、広告業、媒体社ら地域広告界の主要構成員が会員となり、広告賞や顕彰制度、会員間の交流などの活動を展開している。各協会が注目する地域経済トピックスや協会活動について聞いた。
【富山】優れた広告が地域活性化に貢献
優れた創作活動を行った広告制作者や企画の立案・実施者を顕彰する「とやまクリエーター大賞」(全広連協賛)は、今年度で23回目を迎える。広告活動が地域の活性化に貢献している好例として、毎年、賀詞交歓会の場で表彰している。
最近は、プロモーションやキャンペーン型の作品での応募が増えており、地域における広告のプレゼンスが高まっていると言える。今年3月の北陸新幹線開業効果により、ビジネス客や観光客も増え、富山の広告関係者にとっては、腕の見せどころ。多彩なクリエイティブやプロモーションで富山をアピールする――そんな作品の応募を期待している。(富山広告協会)
【福井】北陸新幹線効果、福井にも波及
北陸新幹線開業は今年一番のニュースになりそうだ。金沢の盛況ぶりに圧倒されながらも、新幹線効果は福井県内主要観光地にもおよび、GW中の入り込み数は前年比3割増しとなった。金沢から先、福井県敦賀までの延伸3年前倒しが決定し、さらに2020年オリンピックイヤーでの福井駅までの先行開業も与党PTで検討中だ。
当協会は今年度設立十周年。今後も2018年の福井国体、来るべき新幹線開業と、福井の発信に積極的なかかわりを持ちたい。(福井広告協会)
【岐阜】企画広告を積極展開
清流長良川で繰り広げられる伝統漁・鵜飼(ウ飼い)と、水都・大垣市を13台の軕(やま)が練り回る大垣まつりが今春、国重要無形民俗文化財に指定された。昨年末には本美濃紙の手漉(す)き和紙技術がユネスコの世界無形文化遺産に登録されるなど、岐阜県は今、豊かな文化をはぐくむまちとして注目を集めている。
また、今年は10月に揖斐川町で皇室行事の全国育樹祭が行われ、県内を丸太でリレーするなど盛り上がりを見せている。
岐阜広告協会では、これら記念すべき出来事を県内外に発信していこうと、積極的に企画広告を展開し、認知度やブランド力向上に尽くしていきたい。(岐阜広告協会)
【静岡県】県内2つ目の世界遺産に
家康公が育ち、創り、眠るまち静岡の魅力を発信するイベント「家康公400年祭」が年明けとともに始まり中盤を迎えた。文化、歴史、スポーツイベントが毎週のように繰り広げられ、老若男女を巻き込んだ賑わい作りに貢献している。
一方、この度、伊豆の国市にある韮山反射炉が、一昨年の富士山に続き、県内2つ目の世界遺産に登録された。全国ワースト2位の人口減少県にも、人を呼び込む機会が生まれている。
こうした追い風を更に強めていくのが広告の力であり、会員社一同頑張っている。(静岡県広告協会)
【愛知】広告賞の画期的な改革
愛知広告協会の顕彰事業が今年40回を迎える。これを期に広告賞を刷新し、「AICHI AD AWARDS(AAA)2015」をスタートさせる。時代の広告環境に即した「クリエイターによるクリエイターのための広告賞」として優秀な広告作品を顕彰し、さらなる県下の広告クリエイターのレベルアップ、育成を目指す。
審査には日本のトップクリエイター6人があたり、審査会を6月12日に実施、優秀広告作品展を7月15日~20日の期間、IdcNデザインギャラリーで開催した。(愛知広告協会)
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【京都】「琳派四百年」を契機に 進取の気風を発信
昨年、アメリカの大手旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」は、旅行で訪れたい世界の都市ランキングで、日本の都市として初めて京都市を1位に選出した。
グローバル化が進む京都では、今年「琳派四百年」を迎え、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳らの時代を超えた斬新なデザイン、作品や精神が改めて脚光を浴びている。
京都広告協会としても、進取の気風を内在した京都の魅力を、広告を通じて日本内外に発信できるよう創意工夫し、来年の創立60周年につなげたい。(京都広告協会)
【大阪】動け、大阪。動かせ、広告。
大阪広告協会「第67回定時社員総会」を5月29日に開き、各賞の贈賞を行った。「大阪広告協会賞」は、活発なマーケティング活動の結果、業績向上と共に大阪(関西)への経済貢献、ブランド力向上に大きく寄与されたユー・エス・ジェイへ、「同賞特別賞」はフィルムの時代からデジタル全盛の現在まで、ポストプロダクションとして絶えず業界をリードし、大阪の映像制作界を支えてきたIMAGICAウェストへ贈呈された。
「やってみなはれ佐治敬三賞」は、プロデュース力の高さ、表現力の幅の広さなど、多面的なクリエイティブ力が高く評価された鈴木契氏(電通関西支社コピーライター)に贈られた。
また、今年度の活動目標(活動スローガン)は、大阪コピーライターズ・クラブ(OCC)の協力で作成した案を会員投票で選出し、「動け、大阪。動かせ、広告。」に決定した。(大阪広告協会)
【神戸】お城にマラソン 今、姫路が熱い
世界遺産・国宝姫路城(姫路市)が、3月27日にグランドオープンし、市内の飲食店や土産店が活況だ。特に百貨店では、外国人観光客の旺盛な消費が、免税売上高を押し上げている。また、お城の一般公開に先立ち開催された「世界遺産姫路城マラソン2015」ではランナーや沿道応援の観衆を含め約13万人が訪れ、推計15億2千万円の経済波及効果をもたらした(兵庫県立大調べ)。
前年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」による経済効果も推計で243億円(同大調べ)に上り、ここ数年はまさに「姫路」が兵庫県内における経済活性化の中心的役割を担っているといえる。
先日、姫路城マラソンの継続開催が決まり、ますます盛り上がる姫路。2年後の全広連神戸大会では、姫路を中心とした観光ツアーも予定しているのでご期待いただきたい。(神戸広告協会)