つくり手が意識を変えれば、賞は獲れる——電通 澤本嘉光さん
——澤本さんが、毎年カンヌに参加されているのはなぜですか?
答えはいたってシンプルです。現在は、企業もクライアントもグローバル化が進んでいて、電通もその例外ではなく、世界的に評価されなければならないという流れになってきています。そのなかで、カンヌは世界基準を確かめるためのショウケースとして見ておくべきものがたくさんあります。
あと、実は“落ちた作品”を結構見ているんですよ。なぜなら、落ちたものを見ると、だいたいこのくらいのレベルで出品してるんだ、というのがわかるから。世界の人たちがどういう肌感覚でやっているのかは、ダメな作品を見ないとわからない。だから上位に入賞した良いものを見に来ているのと、ダメなものを見に来ているのと、半々ですね。
——それで言うと、今年のフィルム部門はいかがでしたか。
ショートリストも含めて見た感想としては、日本のCMがアイデアのレベルで劣っているということはない。今年は、テレビCMカテゴリで日本の作品の受賞はありませんでしたが、それはアイデアの問題ではなく、言語と秒数の問題が一番大きい。テレビCMカテゴリを全て見た感想としては、フィルムの専門家が少なくなっているのか、ちょっと良い作品だとすごく目立ちます。
今年新しくできたオンライン動画のカテゴリについては……
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秋山さん、コピーはどうすれば上達しますか?(ゲスト:秋山晶さん)【前編】
【コラムニスト】すぐおわアドタイ出張所
権八:秋山さんは1936年生まれの79歳でいらっしゃるということですが、すごいですね。今も現役でキユーピーマヨネーズのコピーなどを、ずっとお書きになられています。
澤本:秋山さんは、僕らが何気なく見ているコピーや記憶に残っているコピーをいっぱい書いていらっしゃる方です。コピーライター的には「尊敬の頂点」みたいな方なので、今日は緊張します。
秋山:ありがとうございます。ただ、コピーライターというのはアーティストではありません。作家でもない。職業ですから。偉いとか、ビッグというのはないんじゃないですかね。仕事を長くやっているということで、ビッグというよりは、“長い”コピーライターじゃないですか。
権八:糸井(重里)さんがTCCで殿堂入りしたときに「コピーライターはどこまでいってもプロフェッショナルじゃなくて、素人のプロフェッショナル」で、「腕が鍛えられるとか、そういうことではなく、どこまでいっても腕も筋肉もつかない」ということをおっしゃられていましたが、それについて秋山さんはどう思われますか?
秋山:その通りだと思いますね。身体と逆ですね。肉がつかないようにすることは、僕も1つの理想だと思うんですよ。コピーライターは、停滞してはいけない。僕は止まらないようにしています。道を外れていたり、たとえ間違っているかもしれなくても、とにかく止まらないようにしようと。そういう風にしてきたので、“長い”コピーライターになったんじゃないですか。
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【前回コラム】「カンヌ特別生放送!澤本さんによる現地レポート」はこちら
はあちゅうが独立してから「やらない」と決めた5つのこと
【コラムニスト】長谷川 哲士(面白法人カヤック コピーライター/株式会社コピーライター代表)
【その1】 有名になることを目的にしない
はあちゅう:長谷川さんは、コピーライターとして独立するんですよね。コピーライターになって、今年で何年目ですか?
長谷川:23歳からリクルートで求人広告のコピーを書き始めて、1年ブランクがあるので今年で8年目ですね。ぼくは今31歳なので。
はあちゅう:えっ、そうなんですか?わたし、てっきり長谷川さんは自分より年下だと思っていました。なんでだろう?
長谷川:なんでだろう?……でも、ぼくはコピーライターとして生きるなら、年下キャラのほうがいいと思っています。年上の人より、年下の人のほうが、頼みごとをしやすいんじゃないかなと思って。まぁ独立したら仕事がもらえるか、という不安は大いにあるのですが、はあちゅうさんは、コピーを依頼されるようになるにはどうしたらいいと思いますか?ぼくは、頑張ってもっとTwitterのフォロワーとかを増やせば、もっと多くの人に自分を知ってもらえるんじゃないかと思っているのですが。
はあちゅう:自分がネットで有名になることとクライアントを増やすことは、ちょっと離れている気がします。今は、本当に面白いものをつくったら、誰かが見つけて拡散してくれる世の中ですよね。自分のやっていることに筋が通っていて、それをコツコツ継続していれば、べつに自分がインフルエンサーになる必要はないんじゃないでしょうか。
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