─ウェブサイトを作ったものの、売り伸ばせていない。そんな企業は、まず何から始めればいいのでしょうか。
まず整理整頓から始めます。最も効率良く売るために、いらないコンテンツを捨て、必要なコンテンツを加えるということです。
必要なコンテンツ、つまり自社の強みを見極めるために、実施することは2点。①競合を徹底的に調査すること②サイトを利用するお客さまの声を聞くことです。
競合分析は、どの企業でも実施しているとは思いますが、私から見れば、ほとんどできていないも同然。例えば、競合のサイトがどのような内容のメールマガジンを、どういうタイミングで送付しているか、把握できていますか?
当社では、売り伸ばしたいサイトの競合は全てベンチマークし、実際に商品を購入します。そして、どのタイミングで商品の配送やメールの配信が行われたのかを観察するのです。1カ月も観察すれば、だいたいのことは把握でき、競合との比較表を作ります。競合を丸裸にすれば、明確にサイトの強みをあぶりだせます。
サイト担当者に「サイトの強みは何ですか?」と質問すると「返品OK」「土日祝日即日出荷対応」「送料無料」などと答えが返ってきます。しかし、たいていの場合、「本当の強み」はその中にはありません。自社の強みを知る最も確実な方法はお客さまの声を聞くこと。お客さまが購入に至った「決め手」をリサーチします。それを分類していくと、競合と差異化できるポイントが見えてきます。
ここまで準備して、ようやくサイトの整理整頓に入ります。まず強みや競合との差異化の要素がサイトのコンテンツに反映されているかどうかを分析し、強みが反映されていないコンテンツは捨てます。
よくあるのは「スタッフの対応が良かった」というお客さまのレビューがたくさんあるのに、サイトにスタッフを紹介するページがない、というケース。それでは強みを生かしたサイトとは言えません。お客さまの声から、自分たちが選ばれている要因を見極め、それを反映したコンテンツをサイトに加える必要があります。
─お客さまの声はどのようにして集めていますか。
お客さまのレビューの分析やアンケートを実施するだけでなく、営業同行しお客さまを訪問して声を聞くこともありますし、店舗のチラシを配ったりしながら、直接お客さまと接する機会を設けることもあります。どの場合も、お客さまに尋ねる内容は「何がきっかけで当サイトを知ったか」「購入を決めた理由は何か」など、鍵となる6項目の質問を設定したフレームワークを活用しています(表参照)。
─売れる決め手を整理整頓した後の次なるステップは?
既存のサイトコンテンツをA、自社の強みを反映したコンテンツをBとして、A/Bテストを実施します。どちらのコンテンツにしたほうが、実際に成果が出るのかを検証するのです。
その結果から、お客さまの声を再度聞き、強みを分析して、それをまたコンテンツに反映してA/Bテストを実施する。この流れを繰り返すことで精度を上げていきます。
上記とサイトのギャップを改善してABテストを実施。コンバージョンに寄与しているか確認する
例えば、神戸の紳士靴販売業を営むQueen Classicoの通販サイトではお客さまの声の分析から、靴の質感、サイズ感が分からないことが大きなボトルネックであることが見えてきました。そこで、商品の到着後7日間、無償で返品交換に応じるサービスを「試着返品保証」として大きく打ち出し、説明ページを設けました。それだけで、顧客獲得率を伸ばすことができました。
こうしたA/Bテストの結果は、うまくいったことも、いかなかったことも、大切なデータとして蓄積しています。実は当社の社員から、毎月1人500円でA/Bテストの事例を買い取る仕組みをつくっているんです。例えば、Queen Classicoの「カートに入れる」というボタンは元々オレンジ色でしたが、緑、黒などの色に変えてテストしてみたところ、黒にした場合が最も購入率が高いことが分かりました(写真参照)。こうした、ちょっとした表現の差で売上が変わることがあります。こうしたビフォー・アフターの膨大なデータを蓄積しているからこそ、売り逃さないための提案が可能になっています。
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