【前回コラム】「明石家さんまさんにプレゼンするより怖いものはない(ゲスト:角田陽一郎)【前編】」はこちら
今回の登場人物紹介
※本記事は7月24日放映分の内容をダイジェスト収録したものです。
企画は採用されるものじゃなく、実現するもの
中村:先週に引き続きTBSテレビプロデューサーの角田陽一郎さんをお迎えしています。著書『成功の神はネガティブな狩人に降臨する-バラエティ的企画術』が7月21日に発売されました。
角田:この本は、バラエティ的に考えちゃったほうが色々な企画が思いつくし、実際にそれが形になるよという内容です。ノウハウではなく、自分が今までこうやってきたということを本にしました。まえがきに「僕は自分の企画がテレビ局で採用されたことがそんなにない」と書いていますが、僕は企画を採用させるかどうかという観点があまりなくて、採用されなくても実現すればいいと思っています。
澤本:なるほど。
角田:企画を採用させると考えると、採用者に納得してもらわないといけない。つまり、採用者が考えたレギュレーションの中で企画を考えなければいけないわけです。でも、採用者が大したレギュレーションを持っていなければ、その中の企画はどんどんつまらないものになりますよね。
そう思ったのは「オトナの!」でジブリの鈴木敏夫さんの話を聞いたことがきっかけでした。宮崎駿さんは1979年にアニメ第1作『カリオストロの城』を公開していますが、あの名作の興行が不入りだったんですって。その5年後に『風の谷のナウシカ』を第2作でつくってヒットしましたが、その間の5年間、彼は干されていたんですよ。
澤本:“不作の映画監督”になっていたと。
角田:そうです。でも、その干されている間も企画書を出していたと。全然通っていないけど。それを今見ると、「ラピュタ」だったり、「ハウル」だったり、「千と千尋」だったりするそうです。つまり、企画を受けていたほうが「カリオストロで失敗した宮崎だろ。そんな奴の企画がヒットするわけない」と落としていたというわけです。
澤本:なるほど。
角田:この話を聞いたときに「企画が通る、通らないって、選択者のほうがダメ」という場合があるのに、その人の判断に賭けている自分ってアホだなと思ったんですよ。だとしたら、レギュレーションを自分でつくってしまって、企画が実現するように座組みからつくりなおしちゃえばいいと思ったんです。
だから、僕がプロデューサーを務める番組「オトナの!」は制作局で発注を受けてつくる番組ではありません。僕はメディアビジネス局というところにも兼務しているんですけど、そこで「こういう座組みのビジネスモデルをつくりました。その結果として、番組を使います」というように、会社の中で新たな組織をつくってしまったんです。
澤本:組織ですか?
角田:そうです。厳密にいうと別会社で、2009年にgoomoというTBSの子会社を立ち上げたんですけど、そこから生まれた番組が「オトナの!」です。