企画が採用されなかったら、実現する座組みを自分で考えればいい(ゲスト:角田陽一郎さん)【後編】

なぜ、人はやりたいことを仕事にできないのか?

権八:ご著書のタイトルの「ネガティブな狩人」というのはどういう意味ですか?

角田:やりたいことを仕事にできないと思っている人が多いですよね。僕は会社の中でも「いいね、角ちゃんは好きなことやってて」とよく言われるんですよ。世間的に「好きなことをやってる」と思われているテレビプロデューサーにさえです。それはなぜなのか?を考えてみたんです。例えば、やりたいことをやる仕事を「狩りに行く」と仮定します。やりたくない仕事はマイクロソフトさんには悪いですけど、「エクセルをつくる」と表現するとします。

一同:

角田:言っておきますがエクセルはすごくいいソフトですよ!(笑) でも、エクセルでいつも表ばかりつくっている人は、狩りに行っている人がすごくうらやましく思えるんだと思う。だったら、あなたも狩りに行けばいいじゃないですかと思うけど、みんな狩りに行かないでエクセルをつくるじゃないですか。それはなぜかというと、狩りは獲物がとれるか、とれないかのリスクがあるからなんですよね。

澤本:なるほど。

角田:そのリスクがみんな怖いから狩りに行かない。話は変わりますが、僕はネガティブかポジティブかと言われると、人にはよくポジティブだと言われますが、めちゃくちゃネガティブなんですよ。

権八:それは全然わからないですね(笑)。

角田:めちゃくちゃネガティブです。ネガティブを辞書で調べてみたら「後ろ向き」と書いてある。ところが、僕は後ろ向きかと言われると前向きなんです。つまり、僕は前向きなのにネガティブなんだと。ポジティブの日本語訳は前向きで、ネガティブは後ろ向き。でも、僕はネガティブだけど前向きなんですよ。

中村:悪いことばかり考えるけど、前向きであると。

角田:前向きとはフロントにいるということじゃないですか。つまり、風当りが一番強い場所です。となると、風をよけるためにはネガティブに策を練るしか方法がないと気づいたときに、自分のネガティブさは前向きだからだと思ったんです。

中村:ああ、なるほど。

角田:狩人になるとリスクがあるからみんな嫌がる。僕は、やりたい仕事をするということは前向きじゃないとできないけど、それはつまりネガティブじゃなければ叶わないと気づいたんです。

澤本:ただのポジティブ、前向きだとダメだと。

角田:ポジティブなだけだと獲物が手に入らない。ネガティブな狩人にならない限り、自分がやりたいことが形にならないという話です。やりたいことを仕事にしたいんだったら、エクセルをつくるんじゃなくて、一緒に狩人になりましょうよと。しかし獲物を手に入れるためにはネガティブさが大事ですよと。それとも、ポジティブに見せかけたエクセルづくりを日々やりますか?ということを説いている本です。

澤本:すごい、なにか宗教論みたい(笑)。でも、自分のやっていることにも当てはまるような気がしますね。

角田:澤本さんたちの前で威張って言っちゃいましたけど、プロの方はそういうことを自然にやられているから形になっているんじゃないかなと思います。

澤本:僕も自分ですごいネガティブだと思いますもん。臆病だと思います。

次ページ 「テレビ局の中で脈々と受け継がれている企画の伝統」へ続く

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