インターネットサービスが代替するものとは?
もし、情報の整理や収集以外の分野にインターネットが発展すると、あらゆる変化が予想される。そしてそれは人間のライフスタイルや雇用といった根本的なサービスに影響する。情報分野の合理化に関して減少したサービスとしては、例えばはがきやFAXによる通販、電話番号案内や交番での道案内、駅の伝言板や公衆電話などが代表例として挙げられるだろう。そこでは失われた職業なども多くあるのであるが、ECやコンテンツ産業、個人物流など大幅に増加した業種もあったのである。
しかし、現在行われているモノのインターネット(IoT)化をベースにしたサービスが普及した場合はどうなるだろう?
特に自動運転や家電のIT化など人工知能によるサービスは、運転手や調理人と言った人間の職を多く奪いながらそれに代替する職業を生まない可能性があると考えている。企業はその恩恵を受ける一方で、社会的には雇用などの観点でひずみが生じる可能性がある。例えば、ロボットの導入で雇用を減らす合理化を行った場合にはロボットに対して“ロボット雇用税”を掛けて失業対策に回すなどの配慮も必要になるかも知れない。
広がるデジタルデバイド:目指すは誰もがセレブな生活?
IoTや人工知能の活用が進むと、どの様な社会になるだろうか。筆者が考えた一つの解は「誰もがセレブ」になれるということである。
例えばある一日を星新一氏のショートショート風に考えてみると、
「朝、スケジューラーと連動された個人アラーム機能付きの腕時計型ウェアラブル端末の刺激で起こされると、自動調理家電が前日の食事情報や睡眠中の体調情報を基にお勧めの朝食を用意してくれていた。食卓に設置されたモニターでは睡眠前からの各種連絡や今日の予定や天気予報が表示されている。玄関を出ようとすると、スマートフォンと財布を忘れたという警報がなる、先週付けた忘れ物防止機能が上手く働いてくれて助かった、もっとも最近決済はすべて電子化あるいはカード情報が登録されているので財布はほとんど使わないのであるが。マンションのエレベーターを降りると、最寄りの駅まで行く自動運転タクシーが待っていてくれた、社内に乗り込み必要な連絡やスマートフォンで家の電気が消されロックとセキュリティがされていることを確認して、乗車する電車の席を予約して駅へ。公共Wifiが搭載された電車の予約席でメールや資料をチェックしていると、玄関に宅配が届いたという連絡が来たので、宅配会社に冷蔵宅配ボックスに入れておいてもらうように依頼。内容は実家から届いた果物のようである。そこで会社のある駅に到着」――。
これはある種夢物語のようであるが、最近発表された技術やサービス組み合わせで可能なものばかりである。ただ誰にでもこの生活が出来る訳ではなく、ネットに常時接続する環境にあり、デジタル機器特にスマートフォンを利用したサービスの登録が必要である。
デジタル機器を使いこなせないとサービスに申し込みや活用ができない。すなわちデジタルデバイドがさらに拡大していくのではないか。
上記のように大きく世の中が変わるときには合理化により便利になる一方で色々なひずみも生じる可能性があり、それを補てんする社会的な制度の導入も必要かもしれない。
筆者が主宰する次世代マーケティングプラットフォーム研究会ではもIoTをテーマに総会を実施するが、登壇者のIoT専門家の意見を聞き、この問題をより深く考えてみたい。