第7話の見所・創業家一族の内紛から生まれる最大の危機
第7話では、創業家一族の親子間で、烏丸屋ホールディングスのグローバル化へのスタンスの違いから生まれる会社を巻き込んだ内紛が演じられている。丸く収めたい息子は、ついつい父親への温情から経営監視の立場を忘れ、策略に気づかず会社に危機を招き入れ、西行寺から「それがあなたの最大の失敗」と厳しく叱責される場面もある。
身内での骨肉の争いは、企業にとって始末が悪い。敵にとって有益な情報は悪意をもって利用され、不利な情報については意図的なリークなどを通じて潰しにかかる、といった戦略で、企業側の対応を封じ込める。
また、突然、父親側と連携しているファンドが大株主として登場し、烏丸屋株「10%」の大量株式購入について報道される場面がある。この「10%」株式保有がどのような意味を持っているかについて以下の表が参考になる。
持株数・議決権割合
主な権利の内容
1株以上
書面による事前質問権・株主代表訴訟提起権(6カ月間継続保有要)・各種書類の閲覧・謄写請求権(定款、株式取扱規則、株主総会議事録、取締役会議事録、株主名簿、計算書類、監査報告書等)
3%以上
会計帳簿の閲覧謄写請求権・会社及び子会社の業務及び財産状況調査のための検査役選任請求権
3%以上を6カ月間
株主総会招集請求権・取締役・監査役の解任請求権・整理申立権
10%以上
解散請求権
1/3超
重要事項の特別決議の阻止(拒否権発動)
1/2超
経営権の獲得・取締役・監査役の株主総会での選任決議・取締役・監査役の報酬額の株主総会決議・計算書類の株主総会承認・会計監査人の選任に関する決議・取締役・監査役解任権
2/3以上
定款変更決議等の特別決議の成立・持株割合を変化させる事項(新株・転換社債等の有利発行)・会社の内容を変えてしまう重要事項(減資・合併・定款変更・営業譲渡・会社の解散・株式交換・株式移転・会社分割)
10%でもかなりの権利を取得しているが、これに加えて創業家当主である父親の保有株式(15%)及び彼らを支持すると考えられる陣営の株式(10%)を加えた35%は1/3超に該当し、重要事項の特別決議の阻止をも可能としてしまう。
こうした持株数に応じて権利が異なる株主権の動きが乗っ取りでは重要な関心事になり、危機的レベルも変異していく。一度ご覧になった視聴者も再度、この知識をもとにもう一度ドラマを検証してみたら違った視点での面白さを発見できるはずだ。