[石川県×早川和良さんのアイデア会議]県外からの視点と県内の突破力、その両輪が成功の鍵に

株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第4号(2015年8月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

企業の未来を形作る構想を言葉やビジュアルで表現し、実現に向けて力を尽くす。そんなクリエイターとパートナーシップを結んで大きな変革に挑戦し、着実に成功を積み重ねている経営者がいます。「アイデア会議」、今回は特別編。クリエイターとのパートナーシップは地域にも生かされます。今回は知事、そして県の観光戦略の担当者とクリエイターがタッグを組んだ「アイデア会議」を紹介します。

左)竹内 政則(たけうち・まさのり)
石川県 観光戦略推進部首都圏戦略課 課長

1963年石川県生まれ。1982年石川県庁入庁。総務部財政課を経て、2012年に観光交流局新幹線開業PR推進課長に。2013年より現職。

 

右)早川 和良(はやかわ・かずよし)
CMディレクター/石川県観光総合プロデューサー

1952年名古屋生まれ。金沢美術工芸大学彫刻科卒業後、1975年日本天然色映画に入社。1982年に同社を退社し、TYO設立に参加。2003年、TYOのグループ会社としてCamp KAZを設立。TYO専務取締役・Camp KAZ代表。

県外からの視点と県内の突破力、その両輪が成功の鍵に

——早川さんが石川県観光総合プロデューサーに就任して、今年で10年を迎えます。

北陸新幹線開業PRキャラクターの「ひゃくまんさん」。金箔や黒漆、加賀友禅、九谷五彩と、石川県の伝統工芸が身体にあしらわれている。

早川:「観光総合プロデューサー」の設置は、観光誘客の促進を目的に2005年に策定された「新ほっと石川観光プラン」の実施事項の一つ。私が金沢美術大学の出身で、かつCMディレクターとしての仕事にJR東海の「クリスマス・エクスプレス」シリーズがあったことから、声をかけていただきました。10年後の北陸新幹線の開業も見据え、これからの石川県の観光戦略をどう推進していくか——県の皆さんと共に考え、戦略の推進を担うことになりました。

竹内:このプランでは三大都市圏を誘客対象にしていましたが、2015年3月の新幹線開業に向け、特に首都圏をターゲットに据えた戦略を改めて考える必要がありました。

早川:プロデューサーとしての取り組みが本格化したのは、新幹線開業を4年後に控えた2012年。ちょうど、竹内さんが観光戦略推進部に着任したタイミングでしたね。2015年3月14日の開業に向けて、どういう情報・メッセージを発信すべきか。観光客を迎えるために、受け地となる地元でどんな体制やコンテンツが必要か。新幹線開業PRの戦略を、本腰を入れて考えるフェーズに入りました。観光総合プロデューサーとしての僕の立ち位置は、就任当時から一貫していて、「企画アイデアは出すけれど、実際の制作業務には関わらない」ことにしています。CMディレクターとしての仕事とは一線を画し、コミュニケーションプランニングを得意とする個人として関わることで、「そんなコミュニケーションじゃ通用しないよ」とか、「これを実現したいなら、こういうものをつくらなきゃ」とか、自由な発想・発言ができると思った。ビジネスとして関わった場合に想定される、しがらみがなかったからこそ、ここまで長続きしているのだと思います。

竹内:そんな早川さんから最初にいただいたアドバイスは、「県は、テレビCMを打つ必要はない」でした。情報発信というと、我々行政は、つい「テレビなどのマスメディアを使って、どんどん発信しないと!」という発想に陥りがちですが、そこをまず軌道修正していただきました。

ひゃくまんさんが登場したイベントの様子。

早川:JRにとって、新幹線開業はまさに自分ごと。テレビCMを中心とした大規模な広告展開を行うことは明らかでした。であれば、石川県としてはJRがやらないことをやって、相乗効果を図ればいい。JR主体のプロモーションを、良い意味で利用し、JRがやらないことをやる。それが「実体験」の提供でした。石川の特産品や伝統工芸品、祭りなどを、見て・触って・食べて・感じてもらう、イベント型の施策を県内外で実施するのが効果的だと思いました。

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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