社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
千趣会
1954年、前身となる味楽会が発足、こけしの頒布会を開始した。翌年に千趣会として創立。1976年、カタログ「ベルメゾン」創刊、2000年にECサイトを開設。「女性を笑顔にする」ことに一貫して取り組み、2011年には企業ビジョンを「ウーマンスマイルカンパニー」と定めた。
1955年、まだ趣味や娯楽が少なく心の潤いが求められた時代に、毎月愛らしい「こけし」を職場の女性にお届けする頒布会からスタートした千趣会は、今年の11月1日に創立60周年を迎えます。そのタイミングで行われる記念式典に先駆けて開始している、周年事業の取り組みとそこに込めた想いを、経営企画本部広報部の土井佐季さんに伺いました。
企業の原点を改めて見つめ直し 創立時からのDNAを次世代へ伝承
60周年の「還暦」で原点回帰
周年は「創立時の原点」や「これまでの歩み」に光を当てる貴重な機会です。過去の事実を振り返るだけでなく、あらためて原点に立ち返り、過去から学ぶことで、自社の強みを確認することができます。
千趣会の60周年は、昨年創立時のメンバーの一人である会長を亡くされたことや、創立初期のことを知っている従業員がほとんどいなくなってきたこともあり、「原点回帰」をテーマに過去の振り返りからスタートされました。
同社は前述のように、職場の女性たちへ向けた趣味や娯楽としての「こけし」の頒布会から事業を開始。少しずつ世の中が豊かになり、一人ひとりが個性を大切にして“自分らしさ”を求めはじめた1970年代に、カタログ「ベルメゾン」を創刊しました。
そして、女性のライフスタイルがより多様化した今、改めて「ウーマンスマイルカンパニー」を企業ビジョンに据え、ブライダル事業や保育園事業など新たな事業展開も始めています。
この創立からの一連のストーリーを、同社では周年記念サイトやヒストリーブック、記念映像といった各種メディアを通じて社内外に発信されています。これらの活動は、周年の機会だからこそできる企業のコミュニケーション活動です。
また、記念サイトを周年の半年以上前から開設し徐々に内容を充実させていく方法や、サイトには掲載しにくい、しかし社内では語り継ぎたい裏話やヒストリーブックの編集を通じて得た役員の方の若かりしころの写真といったものを、社内向けイントラネットで周年活動の進捗報告とともに載せていく試みは、周年に対する社内の興味関心を高めていくきっかけになります。