歴史の裏側にある想いを共有
創立時の理念を言葉で伝えることはできますが、実感値を伴わない“想い”はなかなか人の心に響かず、共感を獲得できません。ポイントは体感覚への訴求と、他人とシェアする機会を通じた共感覚への訴求です。
千趣会の取り組みには、この点も巧みに取り入れられています。創立時の理念を継承するための施策として、7月には従業員をいくつかのチームに分けて集め、各従業員が思う「女性を笑顔にする」こけしを制作(絵付け)するワークショップを開催。最終的には全社で1000体以上のこけしをつくる予定ですが、これは社名の由来でもある、「こけし千体趣味収集の会」と接続されています。
創立の由来をワークショップの場で伝達する仕掛けは、まさに理念や想いを体感覚に訴求し、共感覚に訴える方法として効果的です。
実際、ワークショップの場も社員の笑顔であふれ、ビジョンを体現する機会にもなったようです。このワークショップの映像は10月末の記念式典で上映予定だそうですが、周年の各施策を点ではなく線でつなぎ、各施策の意味や実施効果を高める効果的な施策だと考えます。
変革のために“継承”する
千趣会は創立当初、企業のオフィスに出張して営業を行い、毎月お届けする商品の注文を受ける領布会で成功。つまり営業力が強みでした。
1976年、もう一つの柱として通信販売を開始。世界観を打ち出したカタログによる通販を事業の武器として成長されました。そして2000年に入るとネット通販を伸ばしていくなど、時代ごとに表に見える会社の強みは常に変化しています。
しかし千趣会の本当の強みは、「女性を笑顔にしたい」という想いから実現する商品開発力。そのDNAを、周年の各施策によって伝えていこうとされています。
千趣会では周年ヒストリーブックを、先輩方の苦労から学ぶマーケティングブックとして位置づけています。まさに未来に向けた「変革」のタネを、DNAの「継承」を通じて蒔こうとする、周年ならではの施策だといえるでしょう。
千趣会 60周年プロジェクト
2014年5月
60周年記念プロジェクトが発足
2014年 11月
ヒストリーブックの編さんを開始
2015年3月
記念ロゴを発表、名刺や流通用の段ボール箱などに活用
2015年3月23日
記念サイトをオープン
2015年7月
従業員向けのこけし絵付けワークショップを開催
2015年10月
ヒストリーブック完成予定
2015年10月末
社内向け記念式典を開催予定
2015年11月1日
60周年創立記念日