高野誠鮮さんの生き方に学べること
——元々、ご自身も地域活性などのテーマに興味があったのでしょうか。
若いころから、その土地ならではの食べ物とか名産品に興味があって。出張先で「道の駅」があるとつい立ち寄って、1メートルくらいのタケノコとか、こんな分厚いシイタケとか見つけるとテンションが上がって、色々買ってしまうタイプでした(笑)。
とはいえ、これまで作ってきたドラマは『ナポレオンの村』とは真逆の、ミステリアスな作品が多かったんです。ただ僕も家に帰ればいち視聴者なわけで、今、お茶の間でどんな番組を観たいのかと問われると「明日はもうちょっとだけ頑張ってみよう!」と思えるドラマなんじゃないか、とふと思ったんですね。今回は特に「日曜劇場」という枠ですし、難しいことは考えず楽しめて、ほっこりとした気持ちになれる作品を作りたいと。そんなときに出会ったのが、高野さんの著書でした。
僕がこのドラマで伝えたかったのは、「高野さんのような熱いスピリットを持った人がいるんだから、日本もまだまだ捨てたもんじゃない」ということ。石川県羽咋市の神子原(みこはら)という地域は、高野さんの奇抜なアイデアと強いバイタリティという両輪があってこそ活気を取り戻したわけですよね。「変わった発想の面白い人」というだけではなくて、結果が出るまで自らの思いを貫き通してきたバイタリティが本当にすごいなと。そのエネルギッシュな生き方はドラマの主人公のキャラクターとして、ふさわしいと思いました。
企画にあたり地方創生に真剣に取り組んでいる方にお会いして、その活力に僕自身も勇気をもらいました。ただ、地域の問題を自分ごととして捉えられている人はまだまだ少数だと思うんです。だからこそ、皆さんが少しでも興味を持って、日本を元気にする一歩を踏み出す一助になってほしい——それこそがエンターテインメントの持つ役割だと考えています。