先生!オープンキャンパスの売りになるコンテンツは何ですか?
5月と8月にそれぞれ2日間に渡りオープンキャンパスを行った。芸工大のオープンキャンパスは現役生たちが大きな役割を果たす。学部・学科にもよるが、訪れる高校生たちが接する有形無形のコンテンツを学生らが自ら準備することが多い。学生からこんなことを聞かれた。
「先生!オープンキャンパスのコンテンツはどうしますか?」
大学が入学後の学生に対して提供する「USP」(約束)を可視化して高校生に見学、あるいは擬似体験してもらうことがオープンキャンパスの意義である。
どのような講義科目があるの?
大学施設はどんな感じなの?
どんなことが学べるの?
入学後の生活はどのような感じなの?
展示や模擬授業は、大学が学生に約束するUSPを整理したものになる。
……と、ここまで書き進んだ、私が感じた違和感……はなぜなのだろう?
大切なのは「誰が」情報を発信するのか??
広報PRの仕事を続けていると「どんな情報を発信するべきか」で悩むことが多い。悩みの大半がこの悩みである。
しかし、ある日、どんな情報を発信するかよりも「誰が」発信するべきかについて、もっと考えた方が良いのではないかと考えたことがある。何のことはない、高校生が入学前に知りたい大学の情報は現役大学生の「ナマの声」が良いのではないかと思った。
カリキュラムや試験に関する十分な情報はWebやパンフレットで公開している。オープンキャンパスにやってくる高校生にとっては、大学側が戦略的に伝えたいと考える大学側のメッセージと同様に、現役の学生たちが直接話してくれる「非公開情報」に価値があるのではないだろうか。
高校生ばかりではない。親御さんも多くオープンキャンパスに訪れる。ご両親にとっても現役生のホンネを直接聞ける機会は良い機会になる。
それって…よく聞く「自分ごと化」??
伝える際の「目線」を変えた情報を提供することは、特に新しい広報手法ではない。以前、Adobeの大学生向けPRの仕事をさせてもらったことがある。「製品を使えば誰でも簡単にクリエイティブ体験ができる」ということを可視化する目的で、全国各地の「ご当地アイドル」のメンバーたちに実際にIllustratorやPhotoshopのレクチャーをスクールで受けてもらい、「オリジナル名刺」「デジタルアイコン」などを実際に制作してもらった。
さらに、SNS上で県別対抗で出来具合を競ってもらった。「学ばなければ難しいことも、学べば簡単にできる」ということを、より分かりやすく可視化して直感的に理解してもらうには、まったく経験のない人に実際に体験してもらい、その結果をストレートに見てもらうというのが分かりやすい。
「他人ごと」に過ぎなかったクリエイティブ体験が、初めてここで「自分ごと」になる。この時、誰の目線(クリエイターなどではないアイドル)かが大事である。