イノベーションは「新しさ」だけでは生まれない、マーケターが惑わされないための3つの方法

2.ビジネスに影響を及ぼす点を見極める

2番目は、もっともオーソドックスなアプローチです。マーケターが新しさに注目する上でのポイントは、自社のビジネスや業界に影響を及ぼすかどうかを判断することです。

新しいマーケティング手法の恩恵にあずかる消費者が、自社のビジネスターゲットのどの程度の割合を占めるか。または、自社のビジネスのカスタマージャーニーにどの程度影響を与えるのか。たとえば、いま現在はその影響力が無視できるくらい小さいとしても、どのくらいの期間でそれが大きな需要になるかを考えることは重要です。

このアプローチは意思決定するマーケターのみならず、協力会社のエージェンシーや担当チーム全員で、新しいテクノロジーについての「ビジネスインパクト」を分析することをおすすめします。そうすることで、新しい手法についてチーム全員での理解が高まり、どう対処すべきかのロードマップを準備することができるからです。

3.影響力を測るためにテストを繰り返す

すでに多くの点で新しい手法を実施している企業は、おそらくこのようなアプローチをすでにしていると思います。高速PDCAをすでに回しているような運用型のチームをマネジメントしている場合は、新しい手法は小規模でテストする対象になっているはずです。

テストを採用する判断基準は、どのような効果を期待しているかのKPI(目標値)の設定が欠かせません。KPIが明確であるということは、その手法に対して何を求めているのか、どんな点を検証したいのかが事前に基準がクリアになっているということです。

新しさに意味があるとしても、企業にとってはどこまでその基準が達しているかどうかは試してみなければ分からないケースもあります。データを元にしたセグメント別のアプローチの施策などは、ただ一回だけ試してみるということではなく、運用しながらその効用について的を絞っていくようなことが多いでしょうから、まさにこのようなPDCAを回す運用体制があっての方法です。

以上、3つの方法について解説しましたが、これらは飽くまで典型的な例を挙げたに過ぎず、実際は様々な思惑が重なって新しい施策というのは取り入れられることが多いはずです。新しいアプローチについて日々検討しているマーケターの皆さま、ぜひ同じような悩みや懸念を抱えているマーケター同士で情報交換していきましょう。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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