“販売代理ではなく価値変換を起こす”
ヴィレヴァンは、メーカーの方や執筆家の方ががんばって作り上げた作品を店頭に並べて販売するだけでは足りない。メーカーとユーザーの間にヴィレヴァンが入り込むことによって、価値を増幅させるだけでなく、価値変換させることが重要だ。有名な小説家の方が書いた作品を店頭に並べるだけで爆発的に売れてもあまりうれしくない。なぜかというと、自分たちの仕事をしていないからだ。ヴィレヴァンの店員は創造しなくてはいけない。なので、ヴィレヴァンの店員のことを小売クリエイターと僕は呼んでいる。情報を横流しするようなクリエイターに仕事は回ってこない。
“常識をどれだけ壊せるか”
常識人に話した時、鼻で笑われるようなことを考えよう。あえて、間違えて考えよう。ありえない組み合わせ、ありえないやり方、それを考えよう。常識を壊すこと、これが創造。常識の側から発想すると、何も生まれない。非常識から考える。これが創造のポイントだ。新しいことをやったとき、支持してくれる人と批判してくる人両方が現れたときは成功だ。支持もされなければ、批判もされないのは失敗。そこに創造が何も生まれていない、何も変わっていないから、誰も何も言わないのだ。
“ウソをつかないやつは信頼される”
嘘くさいオーバーなキャッチコピーは、お金の香りがして興ざめする。店員とお客様の関係はお金の関係であってはダメだと思う。お客様を良い意味でトモダチのように思い、トモダチに、自分が見つけた何かを教えてあげる。そんな関係でありたい。トモダチの関係はお金ではない。ウソいつわりのないフラットな関係のはずだ。お客様に「買わせよう」なんて絶対に考えてはいけない。お客様に「これは買わない方がいいです」と言えるような関係でありたい。お金より信頼。商売は人と人の関係であって、お金の関係ではない。
“買うという行為そのものに楽しさを”
ヴィレヴァンはモノを扱っているけど、モノを売っていない。店員のココロを売っている。また、モノをただただ提供するのではなく、いらない商品であっても、そこで買うという行為じたいに価値を見いだせれば、それでもいいじゃないか。トモダチと一緒に店を訪れて、くだらないものやいらないものに、「こんなのいらねえ」って言いながら、それを買ってみたりする。そこには笑いや会話が生まれて、非常に楽しい時が流れる。買ったあとに、家に帰って、家族や恋人にそれを見せながら「だまされた~」「意外とよかった」とか、そこに会話が生まれたら成功だ。モノを提供すればそれで終わりではない。楽しいときを提供できれば成功なんだ。
“POPに答えを書いてはいけない”
POPは想像させるツールであるべきだ。それをよんで、その商品を使っているときの情景が生まれたら成功だし、そのPOPによって、そこに会話が生まれたら成功だ。ただただ機能やらアーティスト情報やらをつらつらと書くのではなく、感覚をコトバにする。その言葉に隠れる、主語というか主役がお客様でなければ響かない。ことばのなかにインタラクティブな会話を想像できるような余地を少し残しておくのがポイントだ。