今日9月10日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界自殺予防デー」。自殺に対する注意・関心を喚起し、自殺防止のための行動を促進することを目的としており、今年は「Suicide Prevention: Reaching Out and Saving Lives.(自殺防止:救いの手を伸ばし、いのちを守ろう)」をテーマに掲げ、世界各地でさまざまな啓発活動が展開されている。
日本では過日、1972~2013年の40年間自殺した18歳以下の小中高校生計1万8048人について、日別にみると夏季長期休暇明け「9月1日」が131人と最も多い(内閣府「自殺対策白書」)との報道が、大きな話題となった。また、WHOが2014年に発表したデータによれば、人口30万人以上のWHO加盟172カ国を自殺者数の多い順に並べると、日本は18位。主要先進7カ国の中では唯一のランクインだった。
そんな日本で、在日外国人コミュニティに向けて多言語でのメンタルヘルスサービスを提供しているのが、NPO法人TELL(東京英語いのちの電話)。同団体は世界自殺予防デーの今日、プリントおよびデジタルメディアを活用したキャンペーン「Listeners Wanted」を開始した。メインビジュアルに描かれるのは、着信中の携帯電話。「着信に応える=いのちが救われる」「着信拒否=そのいのちは自殺へと向かうかもしれない」という2つの選択肢を提示し、個人一人ひとりの行動が自殺予防の輪を広げていくことを啓発するとともに、無料の電話相談や専門家による面談カウンセリングといったTELLが提供するサービスの価値を訴求する狙いがある。
また、ビジュアルの下部に記載された「The TELL lifeline needs listeners.(TELLライフラインは “リスナー(話を聴く人)”を求めています。)」というタグラインには、TELLの無料電話相談サービス「TELLライフラインサポート(TELLライフライン)」を支えるボランティアスタッフを募集する意味も込められている。日本全国からTELLライフラインに寄せられる電話相談は年間約6000件(うち約60%が日本人、約40%が在日外国人)にのぼる。これに対し、養成研修を受けた約90人ほどのボランティアが、毎日9時から23時まで対応にあたっている状況だ。TELLはこのサービスをさらに拡充し、24時間体制で相談に対応することを目指しており、そのためにはボランティアを120人程度まで増員する必要がある。
その目標の達成に向け、関西圏の人々にもボランティア参加の機会を広げるため、今年初めに神戸オフィスを開設。年2回の相談員養成研修を、9月下旬に関西、10月上旬に東京で実施する予定だ。本キャンペーンを通じて、サービスの認知を拡大するとともに、研修への参加者増に弾みをつけたい考えだ。
キャンペーンの企画制作はオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン。同社は今年、アジアパシフィック地域のイニシアティブとして「#Forceforgood」をローンチし、オグルヴィがこれまでも推し進めてきた、コミュニケーションの力で社会に貢献する取り組みをさらに強化している。
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