鉄道ファンの拡散力に注目
——森さんから、最近のサッポロビールの具体的なケーススタディを教えていただけますか。
森:今年の夏、JR東日本とコラボレーションし、コンビニ限定で鉄道のヘッドマークチャーム付ヱビスビールを発売するキャンペーンを実施しました。そのプロモーションでも、自社のソーシャルメディアを大いに活用しています。まず、この企画に反応してくれそうな鉄道好きな人、例えばTwitterのプロフィール欄に「鉄道」というキーワードを入れているユーザーが、一体どのような人々なのかを調査することからスタートしました。すると興味深いことに、鉄道ファンは非常にファン同士の横のつながりが強く、中にはフォロワー数が2000を超える人がいることも分かりました。
池田:Kloutスコア、いわゆるソーシャル上での発言力や偏差値が高い人にいかにリーチするかは重要なポイントですね。
森:ファンの属性を分析してから、次に行ったのが、キャンペーン関連の投稿内容の審議です。ただ単にチャームの画像だけを投稿するよりも、やはり鉄道ファンの方に反応してもらうには鉄道そのものが写っていた方がいい。そこで、実際にビールを駅まで持参して、チャームと同じヘッドマークをつけた「北斗星」と一緒に撮影し、投稿しました。するとたくさんの「いいね!」があり、コメント欄にはファンの皆さんの画像が集まってきて、ヱビスビールとヘッドマークチャーム、ミニチュアの電車の模型を添えた写真なども次々と投稿されたんです。ソーシャル上の反応を見ていても、これはファンの間では相当盛り上がったようでして、成功した事例のひとつと考えています。
社内に「仲間」を増やそう
——最後に、ソーシャルメディアをもっと全社的に活用したい!と悩んでいる広報担当者、マーケターの皆さんにアドバイスをお願いします。
池田:社内にはなかなか表に出ていないけれど面白いコンテンツがたくさん眠っていますから、その出し先としてソーシャルメディアはピッタリですよね。社内でも今までの施策に限界を感じている部署や、予算を下げられているのにKPIが上がっている部署の人に声をかけてみた方がいい。そういう部署は、なんとかして何か新しいことを始めていかないと、と躍起になっていますから。
森:私も社内の仲間探しには奔走しましたね。コンテンツ面でいうと、意外と知られていない製造方法や技術といったこだわりやトリビアが社内にはたくさんあるので、それをソーシャルで出してみないか?と声をかけていくようにしました。
池田:冒頭で述べたとおり、役職者も現場もソーシャルメディア自体や傾聴への関心は高まっているわけですから、あとは誰に白羽の矢を立てるか、で勝負は決まると思います。
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