ACCインタラクティブ2015受賞まとめ―「皆で楽しめるライブコンテンツ」が上位を独占

前身の「東京インタラクティブ・アド・アワード」(TIAA)から、「ACC CM FESTIVAL」のインタラクティブ部門となって2年目。2015度のACCインタラクティブは2014年度と比べ、応募数こそ233点から180点へと低減したものの、昨年は0点だったゴールドは3点選出。全体の贈賞数も、13作品14賞から29作品35賞と大幅に増加するなど、応募作の完成度の高さを感じさせる結果となった。

キーワードは「ライブコンテンツ×テクノロジー」
「皆で楽しむインタラクティブ」

本年度、総務大臣賞・ACCグランプリを獲得したのは、「Perfume at SXSW」。今年1月にオースティンで開催されたテクノロジーの祭典SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)で行われた、Perfumeのライブパフォーマンス生中継だ。テクニカルな演出を駆使してリアルとバーチャルをシームレスに行き来する体験を生み、多くの視聴者に驚きを与えた。中継に対するアイデアの新しさと、それをテクノロジーの力で実現させたことが評価された(ブレーンデジタル版の関連記事はこちら)。

ACCグランプリ:アミューズ/ユニバーサル ミュージック合同会社 Perfume「Perfume at SXSW」(電通+ライゾマティクスリサーチ+電通テック+ピクス)

3本選出されたACCゴールドも、グランプリ同様、ライブコンテンツとテクノロジーを掛け合わせたものだ。「Fencing Visualized」はモーションキャプチャーとAR技術を使ってフェンシングの剣先の軌跡をリアルタイムで可視化し、素人だと理解しづらかったフェンシングを多くの人が楽しめるようにしたもの。

ACCゴールド:スポーツビズ フェンシング「Fencing Visualized」(電通+ライゾマティクスリサーチ+電通テック+ピクス)

「インハイ.TV」は、これまで限られたメジャー競技しか中継されていなかったインターハイを、全30競技生中継するというプロジェクト。会場に行くことができなかった選手の家族や友人など、潜在的なファンのスポーツ観戦の選択肢を大きく広げた。また、企業のインターハイ協賛の新たな形を提示することになった(宣伝会議デジタル版の関連記事はこちら)。

ACCゴールド:大塚製薬 ポカリスエット/ポカリスエット イオンウォーター「インハイ.TV」(博報堂+博報堂DYメディアパートナーズ+データスタジアム)

ニコニコ超会議の「リアルSUMOU」は、相撲の中継映像にリアルタイムで炎や稲妻などの派手なエフェクト処理をほどこし、エンターテインメント化したものだ。元々、ニコニコ動画内には大相撲の取組映像に格闘ゲームのようなエフェクト処理をかける人気のMAD動画がある。それを「ニコニコ超会議」内の取組中継映像で再現するという試みだ。

ACCゴールド:ドワンゴ ニコニコ超会議2015「リアルSUMOU」(ドワンゴ+ネイション)

以上、上位4点の受賞作を見ると、共通して下記のポイントを見出せる。

  • 見えないものを見えるようにする(可視化)ことで、リアルをより楽しめるようにする
  • デジタルテクノロジーによって、これまでに見たことのない画を獲得する
  • 個人で楽しむインタラクティブから、皆でブロードキャストを楽しむインタラクティブへ

今後インタラクティブが発展する方向性のひとつに、こうしたリアルイベントやライブとの掛け合わせがありそうだ。

審査委員長の北風 勝氏(博報堂)は審査を終え、次のようにコメントしている。

インタラクティブ部門審査委員長 北風 勝氏(博報堂)

「インタラクティブ部門は、ACC その他全部部門です。審査は『チャンスと勇気』を合言葉に未来のシーズを発見する会。今年は昨年なかなか崩せなかった『ゴールドの壁』が次々に突き破られ、4つ巴の戦いを制した「Perfume at SXSW」は、リアルなライブ会場とバーチャル世界を自在に行き来する大胆なチャレンジが審査員の心をわしづかみにしました。今年は新たに2人の女性審査員を迎え、昨年にも増して様々な角度から興味深い審査ができたと思います。その他全部部門の行方は 、ACC の未来です」。

次ページ 「シルバーおよびブロンズ、特別賞の受賞一覧」へ続く

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