リアル脱出ゲームは9割の人が脱出できない・・・だからハマる?
中村:いきなり無茶ぶりですけど、ここにいる澤本さんや権八さん、リスナーに向けて、謎を出すことってできるんですか?
加藤:なぞなぞのレベルになりますけどね。出せますよ。
加藤さんからの謎
日本の消防署で「好きな惑星は何ですか?」というアンケートを取ったら、必ず1位になる惑星があります。それは何でしょう?
澤本:頭の中の動きを普通に言うと、消防署だから火星と言おうと思って、あまりストレートだから外れると恥ずかしいなと思って。消防署で水を使うから水星かなと思って、でも、もっと恥ずかしいなと思って(笑)。
権八:何かに変換するんですか? たとえば、「日本の」というところがミソだったり?
加藤:「日本の」っていうのも大事ですけど、なぞなぞなんで。ダジャレみたいなところもあるんです。ヒントを言うと、消防署といえば?
澤本:消防車。あ、119。
加藤:だいぶ近いですよ。それをゆっくり読んでみてもらっていいですか?
澤本・権八:いちいちきゅう・・・。
権八:あ、わかった!1位地球!
加藤:正解~! 一問だけで出すとこういう感じなんですけど、こういう問題が1つの公演、文脈の中で10問とか20問出されて、それが立体的に折り重なっていって。それがリアル脱出ゲームの大きな構造ですね。
権八:今はヒントをいただいたので言えたけど、1時間で解けないということもあるんですか?
加藤:1時間で解けない人がほとんどですね。9割は脱出できないんですよ。
権八:あ、そうなんだ。そうすると、脱出できなくて、悔しいって言って終わるんですか。
加藤:まさしくその通りです。悔しいって言って、じゃっ!て帰っていきますね(笑)。
中村:でも、いい感じに難易度が設定されているんですよね。小問みたいのは解けるように設定されていて、だいたい最後か、最後の1個手前ぐらいの大きな謎みたいのに突き当たって、そこでほとんどの人が解けずに終わると。
権八:なるほど~。
中村:最後に「時間になりましたー」と言って、加藤さんとかが出てきて、「一番最後の謎はこうやって解けるんです!」と答え合わせをして、全員が「何だ、そりゃー、うわー、すげー!」みたいなトリックになっている。それで、次こそは解けるんじゃないかと思って、何度も繰り返しやってしまうという。
権八:最後の大きな謎は聞いてみんなが「あーっ」と納得がいくというか、逆に「何だそれ、金返せ!」みたいなことはないんですか?
加藤:なったことがないこともないです。
一同:笑
加藤:人によってですけど、「これ成り立ってないじゃないか!」という人もいます。僕らとしては「こうこうこうで成り立っているんです」という説明が届かないときはあって。もちろん、99.9%そうならないんだけど、中には、「こういう考え方もありますよね」みたいなことを言う人もいるので。でも、ほぼないです。
中村:たとえば、『進撃の巨人』や『ポケモン』、『エヴァンゲリオン』は何となくテーマやお題があるわけじゃないですか。そこから謎を組み合わせて、紡いでいくときに独特の企画の考え方というか、アイデアの出し方はありますか? こういう風にやっているとか。やっぱり脱出だから、初めに脱出する目的をつくるみたいな。
加藤:もちろん、大まかな順番みたいのはあって、まずハードデータが決まってくるので、場所・時間・料金・キャパみたいなところから発想をしていって、そこから人ですね。ある種、イベント業ってペーパー商法みたいなところがあって、チラシ1枚だけで3千円のお金を払ってもらわなければいけないわけじゃないですか。
中村:そうですね。
加藤:実体がないのにイメージだけで3千円を払ってもらうためにはどういうタイトルやキャッチ、ビジュアルだったら、「これ面白そう、行ってみたい!」と思わせられるのかというところから考えていく。そうやって順番に発想していくというのはあるんだけど、その根底にずっと通底するのは、「何したらみんなビックリするかなぁ?」ということ。
中村:なるほど。
加藤:ワーッて声があがるようなものですね。声があがって、しかも、「これやばい、誰かに伝えなきゃっ」て言って、すぐツイートの画面をパッと開きたくなるようなものは何かなぁというのを全フェーズごとに考えています。キャパ、タイトル、ゲームの内容を考えるときもお客さんが外に出る瞬間にも、もう1個こういう仕掛けがあったら、ビックリするんじゃないかと延々考え続けている感じですね。