PRパーソンは社長を目指せ!? 佐々木紀彦氏と考える「PRに必要な3つのスキル」

スポンサードの有無より、WHO(人格)の有無

佐々木:読者目線ということで言うと、読者から見て、そのコンテンツが本当に有益か、面白いかということはもっと意識すべきですね。我々も日々、コンテンツを作っている中で、非常に考えさせられているテーマです。

例えば、スポンサードを表記した、いわゆる「ネイティブ広告」を作る時のことです。NewsPicksのネイティブ広告は、スポンサードの表記以外、掲載のフォーマットとしては編集記事と同じなのですが、むしろそっちのほうが純粋な記事よりも読まれたりすることも多いんです。PRコンテンツと編集コンテンツって、読者にとってはもうフラットで、そんなに違いはないんですよね。

本田:非常にホットな話題ですね。透明性とコンプライアンスの問題として、「ネイティブ広告」にPRやアドという表記をすべきという点に関しては、きちんと決着させないといけないですが、コンテンツパワーは別ですからね。佐々木編集長のご経験からも、スポンサード記事と、純粋な編集記事を冷静に比べると、読者のインサイトを突いたものは読まれるし、そうでないものは読まれないっていうことなんですね。スポンサードされているかどうかは、ほぼ関係ない。

佐々木:そのとおりです。

本田:必要以上にこだわるのって、もしかしたら古い世代なのかもしれないですね。アメリカでミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代で、デジタル機器とソーシャルネットワークを自在に操る人の意)の話をすると、今の若い世代って、デジタルネイティブであると同時にマーケティングネイティブで、生まれた時からマーケティングに囲まれているので、それが当たり前っていう感覚なんじゃないか、という話になります。だから、若い世代には、その情報がスポンサードされているとか、自分がそれによって情報操作されている、という発想はないんじゃないでしょうか。自分にとって面白いか、面白くないかという判断基準のほうを大切にしているというか……。

佐々木:おそらくスポンサード云々よりも、誰が書いているか、言っているか、というほうを気にしていますよね。

本田:WHOの視点ですね。企業もそうだと思います。企業が出している情報だから悪いのではなく、WHOになりきれてない企業、つまり、「人格」を持ちきれていないと、いかにも広告がやってきた、というふうになってしまいますよね。WHOになりきることが大切ですよね。

PR力は公共財である。

本田:どういう人に、PRアワードに応募してほしいですか?

佐々木:PR会社の人や企業の広報担当者にどんどん応募していただくのはもちろんですが、ちょっと視点を変えたところでは、経営者の方にも応募していただきたいと思いますね。経営者こそPRの視点が大切ですから。

本田:これまでの応募率では、PR会社からの応募が多いと聞いています。PRアワードって、専門的な賞だと思われがちなんです。

佐々木:でも、PR的視点って、もはやPR会社だけのものでもないし、広報部だけのものでもないですよね。PR業とかPR部門に従事していない人にも、ぜひ応募していただきたいです。

PRはロジカルシンキングと同じだと語る本田氏

本田:PRって手法の名前ではあると思うのですが、一方で、スキルとか発想の名前でもあるんですよね。本当に大事なのは、いろんな人や組織がPRセンスを持つことだと思うんです。この際、PRに従事しているかどうかはあまり重要じゃない。PRって、ロジカルシンキングと同じように、社会人にとって必要なスキルの一つだと思うんですよね。

佐々木:そのとおりです。PR力は公共財ですよ。今の時代は、「伝え方が9割」なわけですよね(笑)。こんなに「伝える力」の本が売れている時代は今までありません。伝える力=PRなので、今、世の中全体が「伝える時代」つまり、PRの時代ってことだと思いますよ。

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