PRパーソンは社長を目指せ!
佐々木:ところで、最近、伝え方がうまいなと思った人はいますか? 私は、テニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手だと思いますね。3月に発売された書籍『ジョコビッチの生まれ変わる食事』に最近ハマっていまして、あれは伝え方がうまいなと感心しています。PRパーソン・オブ・ザ・イヤーはジョコビッチじゃないですかね(笑)。
本田:僕が思うのは、『人生がときめく片づけの魔法』の著者の近藤麻理恵さんですね。米『TIME』誌の「最も影響力のある100人」にも選ばれて、全世界で売れていますよね。あの本はものすごく伝え方がうまいです。物を捨てる話を、その人の人生が変わる話に変換している。伝え方が秀逸すぎます。「片付ける」ということをあそこまでうまくPRしたのは、世界で他になかった例だと思いますね。
佐々木:「伝える力」のある人って、どこにいるんでしょうね。
本田:どこかの業界にいるというよりは、そういう才能とかセンスがある人がいろんな領域にいて、そういう人が、結果的に有名になるんだと思います。今注目されている俳優とか、料理人とか、みんなそういう人だと思います。できる経営者とそうでない人の違いも、PR力の差だと思います。
佐々木:スター経営者って、PR視点を身につけていますからね。「見つける力」「創る力」そして「伝える力」がとても優れていますよね。ですから、PR出身の社長をもっと生み出そうというか、PRパーソンは社長を目指せと言いたいですね。
本田:名言が出ましたね!
佐々木:PRパーソンに限らず、「見つける力」「創る力」「伝える力」を鍛えるチャンスは誰にでもあると思います。でも、PRの人は特に鍛えるチャンスが多いかもしれませんね。実践の機会もたくさんあります。
本田:これからの時代に欠かせないスキルを、PR業界の人は会得しやすい環境にいるということですね。
佐々木:そうです、PRスキルを会得して社長を目指そうってことです。トップこそ、こういう視点がないとダメですからね。
本田:その視点を養ったり、確認するためにも、ぜひPRアワードを活用していただきたいですね。
佐々木:一審査員として、PRアワードが大いに盛り上がることを期待しています。
(聞き手:伊澤佑美)
佐々木紀彦(ささき・のりひこ)
ニューズピックス編集長
1979年福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2012年11月、「東洋経済オンライン」編集長に就任。リニューアルから4カ月で5301万ページビューを記録し、同サイトをビジネス誌系サイトNo.1に導く。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』がある。