1日1時間のトレーニングで、宣言通りマスターズで金メダル
中村:武井さんと言えば、マスターズ陸上競技選手権金メダルですよね。おめでとうございます!
武井:ありがとうございます。これが世界マスターズの金メダルです。
澤本:すごい、本物だよ。
武井:僕のクラスは40歳以上ですが、マスターズは35歳からはじまるんですね。35歳がジュニアマスターズと言われていて、ほぼ現役と半々ぐらい。40歳からリアルなマスターズがはじまるんですけど、本当に現役あがってすぐの選手もいるので、一番レベルの高いカテゴリーなんです。そこの4×100メートルリレーで日本が優勝したのは初だと。
一同:おめでとうございます(拍手)。
武井:21回目の大会で初の日本の優勝を手にできたということで、非常に満足しています。今回、僕の中でテーマとして掲げていたのが1日1時間しかトレーニングをしないということだったんです。
権八:インタビューで読みました。感動しました。
武井:なぜかというと、今たくさん芸能界でお仕事をいただいていて、朝から晩まで仕事が入ってるんですね。忙しくなると、どうしても仕事に没頭してしまって、お仕事をしている人間になっちゃって。だけど、人じゃないですか。本能があるし、好きなことをやりたいじゃないですか。そこに夢も希望も野望もあれば、色々な欲が僕の中にあるから。でも、そういうのを大人になってくるとみんなあきらめがちですよね。
だったら、どのぐらい時間があったら夢を達成できるのかを証明してやろうと思ったんです。大人の1時間にどれだけのエネルギーとパワーを込められるんだろうというチャレンジだったんですよ。だから必ず1日1時間以内にトレーニングを終わらせて、それで世界を獲るという宣言を3年前にしちゃったわけです。
そこからプレッシャーに苛まれて、テレビで言っちゃったもんだから獲らなきゃいけないと。前回、ブラジルの大会で銅メダルを1個獲れたけど、自分の中では「世界を獲る」って言っていたから、お祝いしてもらったけど、全然納得いかなくて。悔しくてしょうがなくて、何とか金を獲ってやろうと思って。
中村:銅メダルでも十分すごいですけどね。
武井:もう1回1人でチャレンジしても良かったんだけど、大人をもっと巻き込みたいと思って、同世代の3人を集めました。みんなお仕事をしていて、社長さん、道場を経営している空手家、整体師、そんなメンバーを集めてリレーをやろうと。それで世界一を獲る決意を大阪のカフェでしました。そこから2年間、毎日1時間、つまり合計730時間使ってきっちり体を仕上げて、行ってきました。
日本のタイムはトップクラスだったんですよ。だけど、新星が現れて、イギリスチームにオッサイという190センチ以上のゴリゴリの黒人が。「僕、今年40歳になりました。なので、参加させていただきまーす」みたいな。100メートルを10秒5ぐらいで走って、200メートルも21秒半ばで走るっていう現役の大学生みたいな奴が入ってきたんですよ。
一同:笑
武井:やばいと思って。しかも、そいつ最初リレーの登録をしてなかったのに、100、200をぶっちぎりの記録で2連勝しちゃったものだから、イギリスチームが懇願して、最終日のリレーまで1週間以上空いていたのに残っていて。それで特例でアンカーに入っちゃって。俺が5レーンだったんですけど、7レーンにオッサイがいるわけですよ。
中村:すぐ近くに(笑)。
武井:おい、勘弁してくれと。それで当日、ウォーミングアップを見ていたら、本当に獣みたいな感じで(笑)。俺もうプレッシャーで泣きそうになってきて。2年かけて今回は勝てると思って来たのに、オッサイ来やがったと(笑)。しかもアンカー対決。日本チームは3走までは速いわけですよ。だから、やられるとしたら俺だと。
中村:武井壮でバコーンと抜かれらたら、たまったもんじゃないですよね。
武井:フジテレビだ、NHKだって、僕のためにカメラ持って取材に来てるわけですよ。いよいよやべーな、と。はじまったら日本は案の定トップで来て、何とかオッサイから逃げ切りまして、世界一のゴールを切ってきたというね。このチャレンジは「大人こそ夢を持って、熱く前進しようぜ」というもので、どんな仕事をしていても時間あるよねと。だから今の仕事が夢で、実現できている人もたくさんいると思うけど、もう1個夢叶えたっていいじゃねーかと。それは大人がやらないと子どもに夢をもてなんて言っちゃダメだよって思うんですよ。
澤本:そうだよね。