登壇者はコピーライターの阿部広太郎氏(電通)。自身が実際に宣伝会議賞へ挑戦した体験をもとに、宣伝会議賞の選考を突破するために必要な心がけを語った。
2年間、コピーが書けなかった
2008年の電通入社後は人事局に配属。その後クリエイティブ試験を通過し、翌年から念願のコピーライターになった。しかし、同期が次々とコピーを世に出していくなか、2年ほど納得のいくコピーが書けなかった。コピーの打合せでは、成果を出せず行き詰る姿に、クリエイティブディレクターから「大丈夫か?」と心配されることすらあったという。
それでもコピーライターという仕事が好きだった。「電通」の名前で仕事を受注するだけではなく、いつか「あの人と仕事がしたい」と自分の名前で勝負できるようになりたかった。そんな将来を目指すために、是が非でも宣伝会議賞を獲りたいと考えていた。
4年間におよぶ挑戦
宣伝会議賞への4回の挑戦を経て、2012年に協賛企業賞を受賞。ブラザー販売のマイミーオ(プリンター)の、「後は、僕のプレゼン次第。」というコピーだ。これまでの3回の応募の振り返りをするために、宣伝会議賞の受賞作をまとめた書籍「SKAT.」を全冊読みこみ、通過したコピーとしなかったコピーの差を徹底的に研究。宣伝会議賞、締切り前日は会社に泊まり込んで夜通しコピーを書き、締切りの1分前まで新しいコピーを考えた末の受賞だった。
「質は量からしか生まれない」
「男子会」のなかで阿部氏が何度も触れたキーワードだ。どれだけ執念を持ち、どれだけ脳に汗をかいたかは、必ず結果に表れる。
「たとえば」と「つまり」でコピーは書ける
阿部氏は、「コピーとは、自分の経験から生まれるもの」と話す。お題に対して、「たとえば」どういうことか?と他人から聞いた話も含めて経験を思い出していく。その上で「●●は、つまり◎◎だ。」と、「つまり」それは何なのか?と本質を考えてみることが有効だ。「たとえば」で経験を思い出し、「つまり」で本質に近づく。本質的な部分が気付きという企てとなり、言葉に加えることを意識するとコピーは書けるようになる。