【前回のコラム】「独立するなら、見切り発車がちょうどいい(コピーライター渡辺潤平さん)」はこちら
今回のゲストについて
第4回目のゲストは、「広告夫婦」として知られるCMプランナーの福里真一(ふくさとしんいち)さんと、コピーライターの三井明子(みついあきこ)さん。電通を辞めて15年になる福里さんに対して、三井さんはアサツー ディ・ケイに所属し活躍しています。夫婦でありながら異なる働き方をしている二人に、それぞれの立場から話を聞きました。
(※このインタビューは東京・下北沢にある本屋B&Bでのトークイベント「広告夫婦から学ぶ!コピーライターが独立して幸せになる23の方法」の内容をまとめたものです)
福里真一(ふくさと・しんいち)
CMプランナー/コピーライター。
1968年鎌倉生まれ。92年電通入社。2001年よりワンスカイ所属。いままでに1000本以上のテレビCMを企画・制作している。主な仕事に、ジョージア「明日があるさ」、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN」「TOYOTOWN」、ENEOS「エネゴリくん」、東洋水産「マルちゃん正麺」、アフラック「ブラックスワン」、ゆうパック「バカまじめな男」など。TCCグランプリ、ACCグランプリ、クリエイターオブザイヤーなど受賞。著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)、『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)。
三井明子(みつい・あきこ)
コピーライター/クリエイティブディレクター。
静岡県出身。中学校教員、職業訓練生、派遣社員、広告制作プロダクション、化粧品会社宣伝部などを経てアサツー ディ・ケイ。TCC賞、TCC新人賞、ACCゴールド、アドフェストグランプリ、ロンドン国際広告祭シルバー、クリエイターオブザイヤー・メダリストなど受賞多数。TCC賞、ACC賞、宣伝会議賞、ピンクリボンデザイン大賞などの審査員を務める。東北芸術工科大学 非常勤講師。著書に『マイペースのススメェー』(パイインターナショナル)。
個人が会社に気を遣う必要はまったくない
福里:まず、直接伝えるのが遅くなってしまいましたが、長谷川さん、2015年度のTCC新人賞の受賞、おめでとうございます。
長谷川:どうもありがとうございます。
三井:わたしは長谷川さんが受賞されたときに、お祝いのお電話をしたんですね。そのときに「今年の12月31日でカヤックを辞めます」という話を聞いて、来月や再来月ではなくまだ先の話だったので驚きました。なんだかAKB48みたいですよね。でも、辞めるまでの期間を自分のPRに使うというのは長谷川さんらしくていいな、と思いました。
福里:辞めることを宣伝すればするほど、独立してから仕事をもらえるわけですもんね。とにかくやり方がうまいですよね。こうして対談している僕らも、仲間に取り込まれていくんですね…。
長谷川:巻き込み事故のような形で、すみません。長いこと広告業界にいるお二人に、いろいろアドバイスをお伺いしたいと思います。
まずは福里さんに、ちょっと変化球な質問です。
福里さんは、将来、過去に勤めていた電通に戻る可能性はありますか?また、あるとしたらどんなときだと思いますか?
福里:うーん。ものすごく懇願されたら戻るけど、そうはならないと思います。会社って、誰かがいなくなったらそれを埋める人が必ず生まれてくるので、僕なんて全然必要ないんですよ。だって、そもそも人類の歴史がそういうものですからね。生まれて死んで、全員入れ替わっている。それでも問題がないように、この世界はできているんですよ。
だから、個人が会社に気を遣う必要はまったくないんです。もし何か判断しないといけないときは、会社ではなく「自分がどうか」ということだけを考えればいいと思います。
長谷川:逆に、いま企業に勤めている三井さんが、これから独立する可能性はありますか?
三井:会社にいると、いろいろと面倒なこともあるけれど、やっぱり組織に所属して仲間と一緒にいるのは嬉しいことなんじゃないかな、と思います。
例えば、会社の忘年会って、誘われるとちょっと面倒だなと思ったりしませんか?でも、もしそれがなくなったらすごく寂しいんじゃないかなと。そんなふうに考えると、一人になるより組織に属しているほうが毎日を楽しく送れるような気がするんです。