買収から2年、電通イージス・ネットワーク これからの戦略—ジェリー・ブルマンCEOインタビュー

デジタル比率を55%まで高め、スポーツの強みを日本の外でも

——今後、EMEAおよびアメリカにおいてどう存在感を強めていきますか。

電通イージス・ネットワークの管轄地域は日本以外の全てです。ですからグローバル市場は主に3つに分けて考えています。Americasと、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)とAPAC(アジア太平洋)です。APACはシンガポールが拠点になっています。

デジタル経済はますます強くなっています。デジタル経済においてポジションを作ることが、ケイパビリティとスケールを両面で高め、ビジネスを伸長させることにつながります。現在収益の43%がデジタル(2014年度実績)ですが、これをさらに2017年には55%まで高めていく。それがクライアントにさらに付加価値を提供することにもなるでしょう。

——M&Aを積極的に展開していますが、買収先の選定基準は。

イノベーションを持つ企業かどうかを見ています。また、我々には既にスケールとケイパビリティがありますが、買収によってさらにケイパビリティを強化できるかどうかです。つまり、イノベーションで成長を加速し、いまの市場環境に特化したスペシャリストを置いていくということです。M&A自体が戦略なのではありません。M&Aはあくまで戦略を加速させるものです。

検索、メディア、デジタル、クリエイティブと様々な領域がありますが、特に成長しているのは、ソーシャルメディア、モバイル、そしてビデオです。ですからこうした領域が優先的になると思います。

付け加えて言えば、スポーツマーケティングのケイパビリティをさらに大きくしていきたい。電通はすでにスポーツマーケティングにおいて非常に力強い実績を持っています。電通イージス・ネットワークにおいても、例えばMKTG(2014年に買収。イベントを使った経験マーケティングに強み)といったブランドで、非常に強いアクティベーションの資産があります。スポーツマーケティングに関しても、特にEMEAと北米においてスケールを拡大していきたいと思っています。

——最後に、日本の広告界をどう見ていますか。

まず日本の広告市場というのはベストプレーヤー、つまり電通が強いシェアを持っています。日本経済ということに関して言えば、日本にとっての問題はいかに経済を成長させるかということだと思います。今は成長を起こすのに苦戦していますが、しかし電通が現場で行っているイノベーションのレベルは十分に高いですし、今後東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定されていることは、日本にとって前向きな要素になっていると思います。経済は成長すると思いますし、それは業界にとっても、電通にとってもいいことでしょう。

(※本インタビューは今年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル会場内にて実施)


Jerry Buhlmann(ジェリー・ブルマン)
電通イージス・ネットワークCEO。

1959年イギリス生まれ。30歳でBBJ(イギリスのメディアエージェンシー)を創設し、10年でイギリス3位のエージェンシーへと成長させる。1999年にイージス・グループにBBJを売却し入社。同グループ傘下のカラ・インターナショナルCEO、イージス・メディア欧州CEO、イージス・メディアCEO兼イージス・グループ取締役、イージス・グループCEOを経て、2013年3月に電通イージス・ネットワークCEO兼イージス・メディアCEOに就任し今日に至る。2014年4月からは電通執行役員も兼任。


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