——確かに、いまだにCMのクライアント最終試写って、大がかりな設備のスタジオで最新の大型テレビの前に一同揃ってご確認、って感じですね。
田端:そう。でも実際の視聴者は、最新の大型テレビでCMを観ているとは限りませんよね。様々なデバイスで、いろんな前後のコンテンツのついでに、そのCMを見ているわけですから。
例えば、YouTubeのプレロールアドCM。お目当ての動画を観る前の、最初の数秒間強制的に流れてくるCMですね。あれ、観る人によっては、企業にとってのマイナスイメージを与えている可能性もあると思うわけですよ。
せっかくお目当ての動画を見に来たのに「なんだよ、このCM!?」って。最初の5秒間で、どれだけ人に有益な何かを伝えられるのか、っていう意識が重要になりますよね。
——確かに、Webになった途端、同じ5秒なのにテレビよりも僕の時間が奪われている感覚が強くなる気がします。もちろん、弊社も含めてCMの作り手側でも、テレビとWebで構造を作り変えたり、の工夫はしていると思うんですけどね。
田端:しかも同じWebの中でも、YouTubeに限らず、企業のオウンドメディア、SNSのタイムライン、そして例えば、自社の話で恐縮ですがLINEが提供している企業のLINE公式アカウントを活用したLINE ビジネスコネクトの中、といった具合に置き場所がどんどん細分化しています。CMを作る側にとっては、より大変な時代になりましたね。
——しかしながらCMがハードウェアとしてのテレビから解き離れた時に、また新たな可能性も生まれそうですね。
田端:そうです。Webの場合、これまでのテレビスポットのように線引き(テレビ局がCMを流せる枠)のしばりもないわけですから、いろんな展開が可能になります。
例えば、35度を超えてクソ暑い日だけに急に流れるような生ビールのCM、とかもあっていいわけですよ。それを例えば、LINEのプッシュで20歳以上の人限定で、数百万人に送ることもできる。ピンポイントでターゲットにCMを届けることができるわけです。